いつまで経っても


「兄さん」



追いかけても追いかけても
追い付かない背中
とても大きくて優しくて
横に並びたくて仕方なかった



「ヒューバート」



あんなにも必死になっていたあの頃はもう
何年も前の事なんだなと
今前を歩く背中を見ながら思う



兄さん‥兄さんっ



今なら手を伸ばすだけで触れられる
こんなにも近い距離にいるというのに

何故
何故なんだ、兄さん

とても遠く感じるんだ



いつの間にか兄さんには
仲間がたくさんいて
僕の知らない世界を見てきて
別の未来に歩き始めている



ねぇ、兄さん



僕じゃない誰かに笑いかけるその表情は
7年前と何も変わらないのに
僕の知ってる、大好きだった笑顔なのに
どうしてこんなにも寂しく感じてしまうんだろう



僕は兄さんに追い付きたいだけなのに
隣を同じ歩幅で助け合って歩いていきたいのに


どんなに頑張っても
兄さんはどんどん離れて行くんだ



置いてかないでよ、兄さんっ











「ヒューバート」











兄さん


兄さん、にいさん‥‥


僕は‥‥





「何してるんだ、行くぞ」



そうやって手を差しのべてくれるのを


待つことしかできないんだ。





「兄さん‥‥」
「ほらヒューバート、こっち来いよ」



兄さんが振り向いて僕を呼ぶ
あの頃から僕はとても大きくなったのに
まだ兄さんに追い付かない



ねぇ、兄さん



「今行きますよ」



こんなに変わってしまった僕を

貴方はまだ待っててくれますか?