いつまでも強気じゃいられない








私が最近気付いた気持ち


それは……。























アイツを離れた席から見てた。
授業中、腕を頭の敷いて机に伏せて寝るアイツを。


嫌いだった。何にでも無関心で、馬鹿にした態度。
普段話さないのに、話す時は私に嫌味やら馬鹿にしたりやら。


そんなアイツが嫌いだった。


いつか見返してやろうと思って毎日見てた。

嫌いだから見てた。そんな今日。



数学の時間にアイツは起きた。顔をゆっくり上げると、口元を拭う。

すると目が合った。


え……。
ぇえっ!?


何で目が合うの!?
なんでこっち向いてるの!?



は焦った。でも、そんな気持ちはすぐに切れた。


沖田の口が動く。
"ばーか。"そう言っていた


『死ね沖田ァッ!!』

あ…。
今授業中だった。


一斉に驚いた顔が此方に向く。

数学の教師が怒った顔で私を睨んだ

『す…すいません。』


ふとアイツの顔を見たら、

笑ってた。



くっそう。
沖田の野郎・・・。


それにしても、、何でバレた!?
たまたま?たまたまなの!?

何て運が悪いんだろう・・・。




授業が終わり、私のオアシスである神楽ちゃんが私のところにやってくる。

、さっきサディストと何やってたアルか?」


そういや、神楽ちゃんってよく沖田と喧嘩してるよね。
女子で沖田と一番触れ合いがあるのって神楽ちゃんだと思う。

『ねぇ、神楽ちゃん。沖田の弱点知らない?』

「あ、ってサディストの事嫌いだったアルな。私も嫌いネ。

弱点って言ったらやっぱり・・・。」

『えッ!?何!?知ってるの!?教えてっ!』

「ソレはアルなぁ・・・。実は私の目のま。」

神楽ちゃんが私に顔を近付け、声を潜めたが、
神楽ちゃんが言い終える前にソレが遮られた。

「ぅおっ!?」

バットが、神楽ちゃん目掛けて飛んで来たのだ。
ギリギリで避けた神楽ちゃん。


「何するネサディストォ!!」

「オイ糞チャイナぁ。お前言って良い事と悪い事があるって知らねぇかィ?」


あの・・・危険とは思いませんか?
普通弱点をバラされる辛さは分かるけどさ、バットは危ないよっ!!

そして避ける神楽ちゃんが凄い!!



「フンッ。さっさと言っちまえばいいアルネ!!全く、弱虫が。」

「黙れチャイナァ!!お前消えろ。」

「うわっ!危ないネ!」

『きゃぁ!!大丈夫!?』



沖田が画鋲を投げてきた!!
地味っ!地味だけど、バットより危険だよυ


『ちょっ、沖田ァ、私の神楽ちゃんに何すんの!!』

「私のォ?知らねーなァ。チャイナなんて知ったこっちゃないぜィ。」

「何ィ!?私もお前なんて知らないアル!!」

「へんっ。結構でィ。」



二人はつかみ合って殴り合いやら蹴りあいやら始めた。


そうそう。いつもこう。
沖田はいつも神楽ちゃんと喧嘩してる。

・・・なんか楽しそうだな。


私も混ぜて欲しいと思った。
・・・何で?

理由を考えても分からない。


二人の表情から見ても楽しそうには見えないんだけど
何故か私、楽しそうに見えてしまう。

私も強かったら参戦できたのかな?





ホント、何考えてんだろ、私。


騒がしい教室を後に保健室に向かった



保健室・・・。私が静かに過ごせる場所。

疲れたり、イライラしたり、何かと悩んだら
私はこの保健室に向かう。



其処で友達もできた。
いつも隣のベッドにカーテン越しで寝ている・・・


「お前、また来たのか。。」

『そっちこそね。』


同じ3Zの高杉だ。




「今日は何があったんだよ。」


欠伸をしながら私に聞いて来た。


『な〜んかイライラしちゃって。沖田に。』

「あ、お前沖田嫌いだったもんな。

でもアイツは・・・。」



其処まで言って口を閉じた


『何?アイツがどうかした?』

「別に・・・。ま、何れ分かる事だろ。」

『・・・何なの?気になるじゃん!!』



自分が乗っていたベッドを降りて、カーテンを開いた

そして、高杉が寝ている隣のベッドに座る


『ホラ、いいなさい!』


ほっぺを摘み、両端を引っ張る
昔はやったら殺されそうになるぐらい怖かったけど、今は大して怒らない


「お前、良い度胸じゃねぇか。」


いつもそう言って頭を叩かれる。
高杉って意外と怖くない存在なのかもしれないと、思うくらいだ。


でも、今日は違った。


「あたっ!?」


デコピンされた・・・。痛いυ

ちょっ、力強いよ。



高杉はそのまま起き上がると、顔を近づけた。

「俺に触るなんて百年早いんだよ。」

『つい昨日も抓った記憶があるんだけどな。』

「お前が勝手にやったんだろーが。」

『あ〜すんませーん。』

「お前なぁ・・・。」


今度は高杉が私のほっぺを引っ張った。

『痛い痛い痛い!!ちょっ、たんまぁ!!』



私が高杉の手を退けようと握った瞬間
保健室のドアが開いた


『・・・お・・・きた・・・・・・。』

「・・・・・・。」



ドアの前で呆然と立つ沖田。


・・・何!?どうした!?
なんか魂が抜けた様になってるよ!?


「へ・・・へ〜。って高杉とそーゆー関係だったんですかィ・・・。」


へ?そーゆー関係って・・・どーゆー関係!?


『・・・どーゆー意味?』


私はふと気付いた。
今だ頬を触っている高杉の手を握っている私の両手に。


あ・・・。

ちょっ、コレヤバイんじゃない!?
なんかヘンな誤解されてない!?


てか、ヘンなところ見られたァ!!



『ちょっ、誤解しないで!!私と高杉はそんな関係じゃ・・・。』

「そんなって何だよ?」

『だから、高杉。私らがデキてんのかって沖田が言って・・・。』

「やっぱデキてんのかィ。」

『だーかーらぁ違うって!!』



私が必死に弁解するが、沖田は私と高杉を睨んだまま立ちすくんだ。
まるで、街でいちゃつく男女を見た私の様に。


あ、私今沖田の気持ち分かるわ。




「沖田ァ・・・お前、











妬いてんのか?」



は!?

え・・・・・・ちょっとυ
ソレありえないから。




「あ〜俺達ァこーゆー関係だぜ。」

『・・・え』



引っ張られる体。
そして高杉の腕の中に収まる



『えっ・・・ちょっ、何!?離してぇ・・・υ///』


ね、沖田顔怖いよ!!
だんだん瞳孔開いてきてる!!
ドライアイになるよぉ!?


「・・・。お幸せに。」

『え!?』



沖田は一言だけ言うと出て行った。

一体何しに来たんだろう・・・?



『ねぇ、いい加減離してよ。』

「ああ?いいじゃねぇか。」

『嫌だから言ってんの!!絶対沖田誤解してるしっ。』

「別にいいんじゃねぇのか?お前嫌いなんだろうが。」

『・・・そうだけど・・・。』



何か気分悪いの

なんか、このままじゃいけない様な気がする。




『ま、いいや。私寝るから。』


普通同級生の男子の目の前で無防備に寝ないと思う。

でも、今まで危険な目に遭った事は無い。
高杉はそーゆー所を弁えてるみたい。


ま、私に興味ないだけだと思うけど。






私はすぐに眠りについた。

そして、夢を見た。
初めてアイツ・・・・・・沖田総悟に会った頃。






優しかった。
最初の出会いは中3の夏。私が引っ越してきて最初にあった夏祭り
道に迷った私を見捨てずに手を引いてくれた。
優しく声をかけてくれて、怪しいと思って拒んだ私を
「なら別にいいでさァ。でも、仲間がお前ぇ探してんだろィ」と言って、手を引いてくれた。
私はこの人なら信じられると思った。


中学は違う学校だったけど、高校で同じだった時、凄く嬉しかった。

でも、全然態度が違ってた。




思えば最初会った時は猫被ってたのかもしれないな。

・・・絶対そうだ。
高校では私の前で普通にニコりとも笑わなかったもん。



あの時に戻りたいな
純粋に沖田に再び会いたいと思っていた頃に。






私が再び目を開けた時には高杉はいなく、窓から差し込む光は薄っすらと、そして赤かった。


『ふわぁ・・・。寝過ぎたυ』


私何時間寝たんだ?
夢の長さでは一瞬なのにな。



『帰ろう・・・。』


重い足を無理矢理動かし、教室へ戻る。
そして、一つ残されたカバンを掴むと、その上に置いてあったメモを手に取りそれを読む。

が幸せそうに寝てるの邪魔したくないから、先に帰るアル”

神楽ちゃんの独特の丸い字は可愛らしく、大きかった。
読み終えたメモをカバンのポケットに閉まう。


カバンを背負って、下駄箱に向かうと、外は先程よりも赤さを増していた。


『こりゃ家に帰る前に暗くなっちゃうな・・・υ』


近道しよう。
でも、まだこの辺には詳しくない。
方向音痴なんだよね、私。


周りを見渡すと、ふと目についた細道。
私の好奇心は旺盛で、体がムズムズした。

『あそこから行ってみよ!』


道に入ってみると、少し暗く、
しかも曲がり角が沢山あった。


方向音痴がこんな暗く細く知らない道を、通って家に戻れるのか?

結末はこう。


『・・・迷ったυ』


此処何処ォ!?
さ、最悪。私のバカ。
ホントバカ。何やってんの!?

適当な道から広い道に出る。
其処には大きな神社があり、見覚えがあった。


『・・・此処・・・。』



なんか覚えてる。
何処だっけ?此処に引っ越して来てからすぐだったと思う。



う〜ん・・・。



考え込む。自然と下を向いた。


思い出さないと家に帰れないじゃん。
携帯があるけど、やっぱりこの年で向かえに来てもらうのは恥ずかしい。



「何やってんでィ、お嬢さん?」


後ろから声がした。聞き覚えのある声。
咄嗟に振り向く。やっぱり、奴だった。



「お嬢さん、道に迷ったんで?」



昔と同じだった。全く一緒。
沖田は同じセリフを私に向かって言う。
そして、昔と同じ優しい笑顔を私に向けた。


「何でィ?そのアホ面。」

『今カチーンと来た!今カチーンと来た!!』


素敵な過去に浸っていたってのに。


どうせ、アンタは覚えてないんでしょ?
どうせ、私の事なんか眼中に無いんでしょ?


「・・・はぁ〜・・・また迷ったんですかィ。何で同じ場所で二度も迷うかねィ。」

『・・・え?』


今の言葉って・・・。
3年前を覚えてるって事?


「前もこんなアホ面してたから、優しい俺が構ってやったんでさァ。」


嘘・・・。コイツなんで覚えてるの?
しかも同じアホ面!?私の顔ってそんなに特徴的な酷い顔してたの!?


『何でアンタがまたいるのよ!?』

「何でって・・・。俺が先に此処に来て昼寝して、
起きたらいつの間にか暗くなってるし、がいるし。」

『・・・・・・。
普通こんなところで昼寝する?』


アホでしょ?
何で神社で昼寝するのよ?


そうしたら、沖田はこう言った。

「嫌な事があったら此処に来るんでィ。」


へ〜、沖田にも嫌な事があったの。
私は保健室の方がいいと思うんだけどな。


『何で此処に?』

「・・・それは・・・



此処が思い出の大切な場所だからでィ。」



た・・・大切な場所?
沖田にとって、この場所は大切な思い出の場所?





「俺が始めて恋した場所なんでさァ。
此処に来て、幸せな過去に浸るんでィ。」

『えっ!?』


沖田の好きな人?
沖田の初恋の相手と出会った・・・場所?


私にとって、アンタと会ったこの場所は大切な思い出の場所。

でも、アンタは別の思い出の方が大切なんだ・・・。



敵わないなぁ・・・私。
沖田は初恋の相手の事、まだ好きなんだ・・・。

敵わない・・・。



ふと涙が流れた。焦る。
咄嗟に手で顔を覆うが、沖田に見られた。


「何泣いてんでさァ?」

『べ・・・別にっ!』


気にしないで。
何で、私泣いてるの?
何で、こんなに悔しいの?
沖田に好きな人がいる事を知って、何で悲しいの?



私は・・・沖田の事が好きなの?



私の頭には疑問系がどんどん浮かぶ

どんどん混乱してくる。知恵熱で倒れそう。

誰か、助けて。




「・・・。」

顔を抑える私の腕に触れる少し冷たい指。
沖田はそっと顔から腕を離すと、ふら付く私を立たせた。


「しっかりと聞きなせェ、。」


一息つくと、再び口が開いた。




「中3の夏、俺はダチに誘われてある祭りに行った。
その場所が此処。俺の思い出の場所でィ。」



それって、私と沖田が始めて会った・・・。

何と関係があるの?その話は何と関係があるの?



「ダチは女の集まりに向かって行った。俺は女なんて興味無かったし、求めなくても寄ってきた。」


はいはい。
そんな自慢話は聞きたくないよ。


「だから俺は一人で祭りを回ってた。
そうしたら、会場から少し離れた場所に一人の女がいた。」


その人が好きな人?
その人が初恋な相手?


「その女は、無言で立ってたから。俺は何してんだ?って聞いたんでさァ。

女は今にも泣きそうな顔で、迷ったんだとすぐに分かった。
放って置く事もできねぇし、仲間を探してやる事にしたんでィ。」


『え・・・?』

それって・・・?私の話?何過去を振り返ってるの?
沖田の初恋について話してよ。私はそっちの話の方が聞きたいよ・・・。


「最初は全然話さなかったんだけどねィ。
段々口数が増えてきて、少しずつ笑うようになった。」


やっぱり・・・。私だ。止めて。過去の話は。
余計辛くなるじゃない・・・。


だが沖田は止めない。
最後まで話そうとしていた


「で、暫くしたら女の友達が見つかった。女は走ってそいつらに駆け寄った。

そんで、俺の方振り向いて、スゲェ笑顔で”ありがとう”って。






スゲェ美人でも、可愛いワケでもねーのに、










俺、その笑顔が忘れられなかった。











また見たいと思ったんでィ。」







え・・・?

それって・・・?










「高校で会えた時、スッゲェ嬉しかった。









好きだぜィ、。」













・・・・・・ホントに・・・?

コレは夢なの?




あの沖田が、私の事が好きだなんて・・・。








『あんなにっ・・・。』

私は俯きながら今まで黙っていた口を開く


『あんなに私の事シカトしておいてっ!?』



私の大声に、鳥が木から驚いて飛び立った音がした
同時に木がざわめく。
辺りはもう暗く、一番星が輝いていた。



「・・・・・・好きだからこそ・・・。」



周りの音が静かになってから、沖田が呟くように言った。



「好きだからこそ、話しかけ辛かったんでィ。
好きだからこそ、目を見て笑えなかったんでィ。」


『・・・・・・沖田・・・。』



沖田の気持ちが声に出てた。
本気なんだと、心底分からされた。



「・・・の気持ち、教えてくだせぇ。」


先程より強い声。
私は、決心した。私も気持ち伝えよう。






『・・・私も沖田と一緒だよ。





初めてあった頃、沖田に惹かれた。
また会いたいと思ってたら、高校で会えて嬉しかった。



でも、沖田は私の事など覚えてない。
そしてあの態度。嫌いだった。沖田の事。




でもね、よく思い出してみたら
よく考えてみたら、







他の女の子と話してるの見ると胸が苦しくなる自分に気付いたの。

今日高杉との事誤解されて焦った自分に気付いたの。












やっぱり沖田の事が好きなの。』









顔が熱い。

どれだけ私は赤面してるんだろう。





もう気持ちは伝えたんだ。恐れる事は無い。

でも、鼓動はどんどん速くなっていく



『!!』



速くなっていく鼓動・・・
それがだんだん落ち着いてくる。









今私は彼の胸の中

抱きしめられた体から彼の温もりが伝わって、私の心を落ち着かせる








「総悟。」

『え?』

「総悟。名前。」

『・・・総悟?』

「名前で呼んでくだせぇ、。」



顔を上げてみる。
ちょっと赤くなった総悟の顔があった


『・・・総悟。』




近付いてくる総悟の顔

私はそっと目を瞑った








ねぇ、総悟。




私はアンタのそーゆー自分勝手なところが嫌い。




でもさ







そーゆーところも好きだよ。





END

〜後書き〜


未来、600HITキリ番踏んでくれてありがとう!!
コレが俺のお返しです。
ホント、すんませんっ!やっぱり甘いの苦手です。
ギャグもダメ、甘もダメってどーすんだ、俺?って感じです。
こんなのでよかったら貰ってやって!(逃)



数学の授業中、目があったさん。
沖田もさんの事を毎日見てたそうです♪