音楽なんて聴きながら受験勉強なんてできると思ってんのか お前は!もう切りなさい!



桂「誰だ?」




立派な橋の真ん中辺で

髪の長い坊主が座っていた




その坊主に近寄る鮮やかで派手な着流しの男

左目には包帯

なんとも懐かしい奴だ





高「・・・クク・・・ヅラぁ。
相変わらず幕吏から逃げ回ってるらしいよーだな。」


桂「ヅラじゃない、桂だ。」








桂「何で貴様が此処にいる?」


京に身をひそめていると聞いたが、
まさか此処で再開するとはな。



高「祭りがあるって聞いてよォ。」


いてもたってもいられなくなったと?
本当にそれだけか?



桂「祭り好きも大概にするがいい。」

高「よもや天下の将軍様が参られる祭りに参加しないわけにはいくまい。」

桂「何故それを?・・・お前・・・。」

高「クク・・・だいそれたことをするつもりはねーよ
だが、面白ェだろーな

祭りの最中将軍の首が飛ぶようなことがあったら。」



幕府も世の中もひっくり返る、と目の前で口角を上げて笑う高杉



高「それからな・・・いい情報を仕入れてなぁ。」


少し真剣な目になったが笑うの止めない


桂「いい情報?」


高「もうテメーも知ってるんだろ?
が・・・・・・生きてる。」

桂「その事か・・・あぁ随分前から知っている。」

高「クク…だろ?俺は祭りの情報が入ると同時に聞いた。
聞いた時は驚いたなぁ。クク・・・が生きてた・・・クク・・・。」


桂「お前まさか、まだ・・・。」


高「あぁ諦めてねェ。
俺はアイツが死んだと知ってもまだ諦めなかった。
は俺の物だ。誰にも、アイツにも渡さねェ。」


桂「高杉・・・だがは今真選組だぞ。」


高「クク・・・知ってるさ。兄貴がいるんだからなぁ。
真選組一番隊隊長沖田総悟。アイツが消えれば俺のところに来るのかねェ。」


桂「やめろ・・・そんなことをしたらが悲しむだろう。
お前はの悲しむところを見たいのか?」


高「別にアイツが泣こうがどうでもいい。側にいればそれでいい。」


桂「お前・・・変わったな・・・。」


高「ククク・・・テメーは相変わらずだな。」



高杉は笑いながら去っていった






桂「・・・逃げろ・・・。」


今の高杉は昔とは違う
昔はの気持ちを大切にしてきた・・・
だが今のアイツは今までの様に皆で仲良くとは行かないぞ

お前を手に入れようとどんな事でもするだろう

とにかく逃げてくれ、



第二十一訓 音楽なんて聴きながら受験勉強なんて出来ると思ってんのか お前は!もう切りなさい!





登「クソジジイぃぃぃぃ!!出て来いコノヤロォォォォォ!!」


騒音の奏でるボロい工場の前に何人もの人

そして中心人物、お登勢さんが声を張り上げていた



工場からは機械の音が
近所の少し離れた家まで大きく届いていた


お登勢さんが、どれだけ近所の皆様に迷惑かけてるかわかってんのか、と工場に向かって叫ぶが

騒音は止まらない




登「江戸一番の発明家だかなんだかしらねーが、私らかぶき町町内会一同も我慢の限界だ。」


今日こそ決着つけてやる。と決心する

今だ耳に響く騒音を聞きながら

お登勢さんは後ろを向かずにアイツらを呼ぶ



登「オイ、ヤローどもやっちまいな!!」




『オイオイ、どこぞのヤクザですか〜?』



土を巻き上げて

万事屋軍団登場!!




銀時の手にはステレオ

の手にはマイク

神楽、新八の手にはスピーカー




それをセットし、銀時がボタンを押す




するとスピーカーから騒音と対等な大きさの音楽が流れる

そこにいた人々は皆、頭の上に?を浮かべていた




新「一番新宿から来ました志村新八です。」


よろしくお願いします。と新八はマイクを持って話す

一度礼をすると

もう一度マイクを持ち直す



スピーカーの音が響く


新「お前ェそれでも人間かァ!!お前の母ちゃん何人だァァ!!♪



ぐわぁああああああん、と辺りに爆音が流れた

もの凄い音痴な歌が耳を劈く



皆一斉に耳を塞いだ

お登勢さんなんか醜い顔が余計醜くなってるよ(酷)



登「おいィィィィィ!!」

お登勢さんは必死で止めようとするが
新八には聞こえない



新「いい加減にしねぇと♪



登「私は騒音止めてくれって言ったんだよ。
増してるじゃねーか二つの騒音がハーモニー奏でてるじゃねーか!」


私に向かって唾を飛ばしながら叫んでくるお登勢さんの目は、少し飛び出ている感じだった

少し怖いんですけど・・・。


『あ〜・・・銀時パス。』

銀「ったく、言ったろ?
いじめっ子黙らすには同じよーにいじめんのが一番だ。」

『あぁなるほどォ!!殴られた事もない奴は人の痛みなんてわかりゃしないんだよね。』

登「わかってねーのはお前らだァ!!」



鼓膜今にも破れそうなお登勢さんは必死で私達に訴える


銀「何言ってんだバーさん。一番痛いのは新八だ」

『公衆の面前で音痴晒してんだから・・・。

かわいそうな新八。』



もの凄い音痴なのに爆音で歌ってる新八は
とても気持ちよさそうだった



『アレはアレで痛いよね。
音痴って事気付いてないんだから。』




哀れみのこもった目で新八を凝視していると

神楽が新八のマイクを奪おうとしていた




神「新八ぃ次私歌わせてヨ。」

新「ラララララ〜」


だが、新八には聞こえていない

どんだけ神楽が大きく叫んでいても
新八はもう自分の世界に浸っていた


もう新八の目・・・ヤヴァイ事なってるよ?



神「オイ。きーてんのか音痴」



可愛い笑顔で痛いトコ突いちゃったよ





やっと現実に戻ってきた新八は
神楽とマイクの取り合いをしていた



『騒いでんねェ〜。
ある意味ではいい効果なんちゃう?』


銀「あ〜あ。何やってんだあいつら。しょーがねーな。
オイぃぃ!!次歌うのは俺だぞォ!!」


『ちゃうちゃう私だってェ!!
私新八と違って歌上手いんだから。ビークル入れろや。』


登「おめーら一体何しに来たんだァ!!
つか、の歌難易度高すぎだろォ!!」



マイクを四人で奪い合う私達を見ながら



登「もういい、てめーらの歌聴くぐらいなら自分で歌う!貸せ!!」


お登勢さんもマイクの奪い合いに参戦してきた

強敵が・・・。



銀「てめーの歌なんてききたくねーんだよ。
俺がダメならまだの歌聴いてる方がいいわボケェ!!」

登「なんだとォォ!!じゃぁデュエットでどうだコノヤロォォ!!」

『お登勢すぁ〜ん!!銀時なんかとデュエットなんてしたら腐りますよォ』

登「マジでか!!」

銀「何言っちゃってんのお前?」





マイクの奪い合いをしていると

シャッターが開いた


「!」


其処にはデカイロボット


『何コレ・・・。』



私がジーッと見ていると
銀時は口をポカーンと開けて呟いた


銀「・・・これが平賀さん?」

なわけないよね銀時?



銀「!!」


ロボットは銀時の頭を鷲掴みするとグルグル回し始めた


銀「いだだだだだ頭取れるって平賀さん!!」

『やっちゃえやっちぇ平賀擬ィ〜(何気に呼び捨て)』



するとまわすスピードがグンッと上がった

銀「止めろォォォ平賀さん!!」



周りのおばさん方は大きなロボットと
回される銀時を見て悲鳴を上げて逃げていった




「たわけ。平賀は俺だ」

『!』


ロボットの後ろから、人が出てきた


平「人んちの前でギャーギャー騒ぎやがって、クソガキども。」



見た目はただの白髪の頭の薄くなったハゲオヤジ

ただの頑固で(一部が)薄い奴だよ



『クソジジイ〜テメーの目は節穴か?此れの何処が餓鬼だ?あん?』


はお登勢を指す


登「!!何言ってんだァ!!後で覚えときな!!」

『あ〜・・・いけね。
本当の事だからつい口が滑っちまって・・・。』

登「オメーは何処までSなんだァ!!」


『まぁそれは置いといて
オメーは頭の方が逝っちまってるただのクソオヤジじぇねぇか〜』


平「クソガキとはテメーも入るんだよ。
少しは近所迷惑を考えんかァァァァァ!!」


登「そりゃテメーだクソジジイ!!」


てめーの騒音のおかげで
みんなガシャコンノイローゼなんだよ!!とお登勢さんはジジイに一喝した


『そりゃ大変だ〜今からちょっくらどれ位ノイローゼなのか観察日記付けてこなくちゃ(黒笑)』


登平「・・・・・・。」



平「おっと、いかんいかん。あまりにもの腹黒で呆気に取られてたわ。
オイ、俺はガシャコンなんて騒音奏でた覚えはねェ!」

”ガシャッウィーンガッシャン”だ!!と無意味な弁解をする

こんな事をしている時でも銀時は回されていた

新八と神楽が銀時を押さえようと必死になっていたが無駄だな〜


私が銀時達に目が行ってると
お登勢さんと平賀のジジイの話は進んでいた



平「何度来よーが俺ァ工場はたたまねェ!!帰れ!
オイ三郎!!かまうことはねェ力ずくで追い出せ!」

三「御意」


三郎と呼ばれるロボットは銀時を持ち上げた


『アレをどうするんだ?』




そして

標的を平賀本人に向ける


平「アレ?オイ、ちょっ・・・。」


平賀の焦りも意味無く

銀時は放たれた


標的命中。二人ともぶっ飛んだ



新八も神楽もただぼぅ〜っと見てるだけ


そこで私は写真を

カシャリ


撮って出来を見て

にやり








***












新「うわ〜〜カラクリの山だ」


私達は気絶したハゲを縄で動けなくし、
その間に工場に入り込んだ



平賀のハゲを縄で柱に括り付け

片付けに入る



神楽は軽々と大きなロボットを担ぎ上げ
どんどんと運んでいく



平「てめーら何勝手に引越しの準備進めてんだァ!!」


やっと目覚めた平賀のジジイは動かない体をジタバタさせて怒鳴る



平「縄解けェェ脱糞するぞコノヤロォォ!!」

『すれば?いいよ?早くすれば?
カメラセットしとくから〜此れを江戸中にバラまくとど〜なるかね〜。』

平「やめさせていただきます。」



折角カメラセットしたのにぃ、とカメラを弄り回して
ふと銀時のいるソファを見る



銀「オイ、茶頼むわ。」

三「御意」


一人寛いでティータイムかよ!?
くつろぎ過ぎ!!


平「三郎ォォ!!何こきつかわれてんだァ!!」

銀「いや〜実にいいモノ作ってるじゃねーか。
ウチにも一つくんねー?このポンコツ君。」



あ・・・。

銀時が三郎をポンコツ君と言った途端
三郎は持ってきたお茶を銀時の頭の上に零した


銀「・・・・・・あっつァァぱァァ!!」


数秒置いて銀時は悲鳴(?)を上げる


あっつァァぱァァ!?なんじゃそりゃ
どーしたらそんな言葉でんの?


三郎は銀時にお茶をぶっ掛け

其処で遅れた反応でぶっコケた銀時




平「ブハハハハハ
三郎はなァ、自分に攻撃的な言葉や行動をとる奴には鉄拳で答えるぞ!!
よし、今のうちにわしを解放しろ!早くしろポンコツ!」


自分で言ったそばから暴言を吐いた平賀は三郎に殴られた


『ホントに鉄拳で答えたね。三郎いい子だ!
よしそのまま平賀のハゲの残り少ない望みを毟り取ってしまえ。』

三「御意」

平「御意じゃねェ!!
ぎゃぁああああああ!!!ヤメロォ三郎ォォオ!!」






その様子を痛い目で見ていた新八とお登勢さんは

新「・・・・・・あの人ホントに江戸一番の発明家なんですか?」

登「なんかそーらしいよ。
私らにゃただのガラクタにしか見えないね〜。」



平「ガラクタなんかじゃねェ。」


こいつらはみんな俺の大事な息子よ、とカッコいい事を言う平賀だが、、



銀「『息子さんあっちで不良に絡まれてるよ』」



銀時とが指す其処には
神楽にまるでピザのようにまわされてる三郎





神「ロケットパンチ発射アル!!」

平「止めてェェ!!腕もいでるだけだから!」

『じゃぁ必殺ロケットキックぅううう!!』

平「止めてって言ってるでしょォオオオオ!!!」







***








銀「此れでヨシと。」


私等はアレから川の近くにロボットを運んだ

辺りには家も無く

此処ならいくら騒いでも大丈夫だろう。



ロボットはもう原型とどめてなかったけど




銀時は好きなだけやりな、と微笑んだが

平賀の顔は暗かった


平「みんなバラバラなんですけど・・・。」



神「大丈夫ヨサブは無事アル」
三「御意」


腕のない三郎の上に乗っていた神楽が答えた


平「御意じゃねーよ!!なんか形違うぞ!!腕ねーじゃん!」

『腕あるよ?ホラァ腕ェ!!ロケットパーンチ!!』


三郎の腕を持ち平賀に向けて投げる

平「グハッ!!」



平賀は足がふらつき、そのまま前倒れこむ

そして両手を地面についた



平「これじゃ祭りに間に合わねーよ!!」


平賀は四つんばいになる


「「祭り?」」

平「三日後に鎖国解禁二十周年の祭典がターミナルで行われるんだよ」

『ああ!!聞いた事あるよ〜。今朝土方さんに言われた気がする。
なんだっけ?・・・そうそう・・・珍しく将軍様がでてくるらしいから護衛を・・・

あ!!私祭りまわれないじゃん!?』

平「そこで俺のカラクリ芸を披露するよう幕府から命がくだってんだよ」

『あ〜あ・・・やっちゃったなオイ・・・
まぁ私は今から帰って護衛について会議あるんで・・・じゃ!』



そして去る

銀「あ、ヤベカレー煮込んでたの忘れてた。」


わざとらしく思い出した様に言う銀時

そのまま銀時、新八、三郎の腕を持っている神楽も去る


平「オイ!三郎の腕返せェェェ!!」




残された平賀は
一人作業を続けた







***











時は真選組



土「祭りの当日は真選組総出で将軍の護衛につくことになる」



将軍にかすり傷一つでもついたら
きっと私達皆の首が飛ぶよね・・・

あ〜大変だ

どうしよう
遊びたい
遊びたいけど、首飛びたくない。


『いや〜マジかよォ。
私はまだ死にたくないわな〜。』


刀の手入れをしながら土方さんを睨み付ける

何でこんな仕事させんだよ、と。



だが私の心の中を知らない土方さんは話を続けていた



やはり攘夷派浪士達も動くらしい
私のかつての仲間はいるだろうか??

その時私は斬れるだろうか??


やっほ〜だよ〜。元気だったァ?


って何か、ノリ気じゃないでしょ。


ハイ!私。久しぶり〜。


って再開を楽しむワケじゃねーだろ!!


もういいや、
どーにでもなれ!!


一先ずは土方さんの話でも聞こう。




土「とにかく、キナくせー野郎を見かけたら迷わずブッた斬れ。俺が責任取る」


あ、そうですかァ??
それはそれは。


沖「マジですかィ?
俺ァどーにも鼻が利かねーんで侍見かけたらかたっぱしから叩き斬りまさァ頼みますぜ。」

『侍ってか・・・侍で黒い服来た瞳孔の開いてる、
マヨラーのニコチン野郎見かけたらすぐさま斬るわ。頼むよ土方さん。』

土「オーイみんなさっき言った事はナシの方向で。
明らかに俺の事言ってるよな、ソレ。なぁ、違うか?」

『何言ってるんですか、当たり前の事聞かないでくださいよ。
てかオイオイ・・・ナシってそりゃぁないんじゃないですかィ』

土「総悟のマネすんな。」

余計苛立つ。と土方さんは言う


『フッ・・・これだからマヨラーは・・・。』



そういい部屋を後にした

土「なんだよアイツ・・・最近反抗ばっか。
反抗期か?丁度そーゆー時期だよな・・・。
まぁいい。


それからコイツはまだ未確認の情報なんだが
江戸にとんでもない野郎が来てるって情報があんだ」

沖「それは誰でィ?」



以前料亭で会談をしていた幕吏十数人が皆殺しにされた事件

その事件を犯したのは奴の仕業





派手な着流しを着て

左目に包帯を巻き、

キセルを加えた男




土「攘夷浪士の中でも最も過激で危険な男・・・





高杉晋助のな」







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