ベルトコンベアには気を付けろ
ある暑い日の夜だ。
真選組の屯所では怪談で盛り上がっていた。
こういう話が隊士の中でも一番好きな稲山さんが「やっぱ夏は怪談だな」と言い出したのがきっかけだ。
俺達は一番広い部屋に集まって一人ずつ話し始めた。
俺はそういうの本当に苦手だけれど、無理矢理参加させられたのだ。
「あれは今日みたいに蚊がたくさん飛んでる暑い夜だったねェ・・・。」
懐中電灯を顔に下から当てながらゆっくり、人が怖がる様な速度で話す稲山さん。
このセリフだけで俺は感づいた。
コレベルトコンベアの話だ!!
此処に来てやっと原作の話になった。
やはり、漫画は一つ一つの話の間が長いなとふと思う。
俺は展開が分かっているので、今回はとびっきり楽しもう。
そうしている間にも稲山さんはどんどん話を展開させる。
「もう夜中だよ。そんな時間にさァ寺子屋の窓から赤い着物の女がこっち見てんの。
”何やってんの、こんな時間に"って聞いたら
その女、ニヤッと笑ってさ」
―ゴクッ―
皆が唾を飲み込む音が響いた。
「マヨネーズが足りないんだけどォ!!」
「「ぎゃふァァアア!!」」
そこに土方さんが、ホントに土方さん?ってくらい、妖怪みたいなものすごい顔で入ってきた。
俺、これ知らなかったら絶対驚くどころかちびるぞ、コレ。
そのときふと気づいた事がある。
俺が来た時にザキが言ってた、呪われてるって奴・・・コレかな?と。
「なんてことするんですかっ!!大切なオチをォォ!!」
土「しるかァマヨネーズが切れたんだよ!買っとけって言っただろ、焼きそば台無しだろーがァ!!」
「もう十分かかってるじゃねーか!もはや、焼きそばじゃねーよ黄色い奴だよ!!」
『黄色い奴…いいな…その響き…』
「「……」」
俺の言葉に一瞬空気が固まる俺。
あ、一人取り残された。
「アレ、局長?」
一人の隊士がある事に気づいた。
先程まで確かに存在していた局長がいない。
『・・・あ』
俺は見てしまった。
口から泡を吹き出して倒れているゴリラを。
「大変だ、局長がマヨネーズで気絶したぞ!!」
焦る隊士達に、静かな俺。
これからの展開にとてもわくわくしていた。
土「くだらねェ・・・。」
やはり、予想通り土方さんはそう言うと部屋を後にした。
『うわ〜めっちゃ楽しみ』
俺は総悟のところに行くかな・・・。
多分庭にいると思い外に出てみると、案の定其処にいた。
きっちりセッティングされていた呪いの儀式の為の道具達と
そして木に止められた土方さんの写真と一緒に。
沖「あ、じゃねぇかィ。お前もやるか?」
そう言って白い服を俺に渡す。
頭には何本かのロウソクがやはり刺さっていた。
『なあ、コレ火だるまにならないか?』
沖「大丈夫でィ。ホラ。」
取り合えず俺も今の着物の上から大き目の白い着物を羽織り、沖田と同じ格好をして釘を掴んだ。
すると同時に沖田は例の言葉を発しだす。
土方〜〜
お前頼むから死んでくれよぉ〜〜
マジで死ねよ〜〜
コレ、呪いと言うか・・・
ただの愚痴?みたいな感じだよな。
とにかくコレで死んだら凄ェよ。
あ、そろそろ来るかも・・・。
そんな風に考えていたらその時がナイスタイミングで訪れた。
―パンッ―
勢いよく襖が開く音がした。
総悟の体がビクッと振るえ、土方さんのご登場。
土方さんから見れば、庭には変な格好した総悟と
先ほどまで怪談のところにいた俺までも同じ格好していたわけで・・・。
土「・・・何してんだてめ〜ら。こんな時間に?」
「『ジョ・・・ジョギング』」
総悟は少し冷や汗をかいていた。
俺も少なからずかいている。
分かってはいたけど、生の鬼の副長は少し怖いと思う。
土「そんな格好で走ったら頭火だるまになるわ!!
儀式だろ?俺を抹殺する儀式だろ!?」
俺が存在する事以外の全てが全く同じで顔がにやける。
うわ〜楽しい〜
『自意識過剰な人だ』
沖「そんなんじゃノイローゼになりますぜ」
ごめんな、総悟。
セリフ奪っちまった。
土「何を・・・・・・
・・・!!」
土方は見た。
屋根の上に人影があるのを。
沖「どうしたんだィ土方さん?」
土「総悟 今 あそこに何か見えなかったか…」
沖「いいえ 何にも…」
言っている事が分かる俺は取り合えず総悟に話を合わせる。
土方さんのいじられる姿も面白い。
あ、すいません。土方さん。
その時、聞き覚えのある声が響いた。
「ぎゃああああ」
第九訓 ベルトコンベアには気を付けろ
土「ひでーなオイこれで何人目だ?」
翌日の朝、俺達は倒れた隊士達が全員寝ている場所を見回る。
昨日の夜、急いで声の聞こえた場所へ向かうと隊士が数名倒れていた。
だがそれは最初の合図となり、
何分間で1回、何時間に数回・・・
とにかく昨晩は連続で何件かその様な奇妙な事件が起き、
今此処では十八人の隊士が魘されつつ寝込んでいる。
『えーっと・・・総悟の年の数ですよ』
沖「隊士の半分以上やられちまったわけですね」
土「さすがにここまでくると薄気味ワリーや」
隊士を見回しながら、呟く。
確かにこりゃ思ったよりも酷そうだ・・・。
そんな風に思っていると、
隣で土方さんが、冗談じゃねーぞ・・・と小さな声で言った。
土「天下の真選組が幽霊なんぞにやられただなんて
恥ずかしくてどこにも口外できんよ。・・・情けねェ」
思い顔でそう言う土方さんを横目に、この次のある人のセリフに俺はため息をつく。
「トシ…俺は違うぞ。マヨネーズにやられた!」
「「『余計言えるか』」」
見事に三人の声がハモって、ちょっとだけ感動。
だってほら、言うタイミングっていうか、瞬間ってよく分からないじゃないですか。
沖「みんなうわ言のように赤い着物を着た女といってるんですが・・・」
稲山さんが話してた怪談のアレかなと自問する総悟。
『俺幽霊苦手なんだよ・・・マジでダメ。
幽霊なんかに会ったその時・・・多分死ぬ』
まあ、ソイツは蚊みたいな天人だから大丈夫だけど・・・。
それを分かってなかったら絶対怖いって、本当!!
土「幽霊なんざいてたまるか」
俺達に諭すように、
まるで己に言い聞かせるかのように、土方さんは言った。
近「霊を甘く見たらとんでもない事になるぞ」
そういう近藤さんは少々怯えている。
近「この屋敷は呪われてるんだ。
きっととんでもない霊にとり憑かれてるんだよ」
ぞーっとした空気が辺りを包んだ。
寒気がして、背中を何かが伝った。
鳥肌が立つ。
アレ?真相知ってるのに、なんでこんなに・・・。
縁側をどたどたと歩く数個の音がここまで届く。
あ・・・早速来たか・・・?
「局長!連れてきました」
少し高めの声が、近藤さんに向かってかけられる。
山「街で探してきました拝み屋です」
山崎に連れられ、拝み屋と紹介された三人組。
一人はミイラの様に体中包帯で巻かれていて
一人はチャイナの格好をしている
もう一人は・・・説明できないが、とにかくよく分からない格好をしていた。
あ、銀時だ。
見た瞬間そう思った。
続いてぞろぞろと神楽と新八が入ってきた。
土「オイオイ冗談だろ、こんな胡散臭い連中・・・」
誰か気づかずに、見た目でそう判断する。
ま、それも仕方ないだろう。
「あらっお兄さん背中に・・・。」
銀時はわざとらしく神楽の耳元で何かを言う。
「ププッありゃもうダメだな。」
土「なにコイツら、斬ってイイ?斬ってイイ?」
二回目の”斬っていい?”は凄く憎しみが篭っていた。
生で見ると面白いな・・・。
それにしても、近藤さんは信じきっている様だ。
銀時の事を先生と呼び、なんとかならないか相談している。
近「このままじゃ怖くて一人で厠にも行けんのですよ」
それはさ、物凄く恥ずかしい事だって分かってるんですかね?
まだ13、4くらいの少女に頼む事ですか!?
「任せるネ、ゴリラ」
自信たっぷりに言う神楽。
その発言だけ聞けば頼りになるけど・・・・・・頼まれてる事はそれでいいのか?
近「今ゴリラって言った?ゴリラって言ったよね」
『しつこい』
細かいところを気にするゴリラ。
どうでもいいから、そんなこと。
***
しばらくして万事屋三人組は屯所を見渡して帰ってきた。
「相当強力な霊の波動を感じますなゴリラ」
近「あ、今確実にゴリラって言ったよね。」
『黙れ、しつけーんだよゴリラ』
近藤さんは手に顔を埋めてしくしくと泣き出した。
「こりゃ料金も相当高くなるゴリよ。」
土「なんか口癖みたいになってるぞ。」
沖「して霊はいかようなものゴリか?」
近「うつった!!」
だからさ、もうゴリラとかゴリとかどーでもいいじゃん。
「えーと・・・工場長。」
セリフと同時に、スパーンという大きな音が響いた。
神楽の頭に銀時の手が降ってきたのだ。
「ベルトコンベアにはさまって死んだ工場長の霊です。」
素早く弁解をするが、弁解できてねぇっ!!
近「あの〜みんなが見たっていってるのは女の霊なんですが」
近藤さんが控えめにそう言うと、
今度は新八が素早く弁解した。
坊「間違えました。
ベルトコンベアにはさまって死んだ工場長に似てるって言われて死んだ女の霊です」
「なげーよ!工場長のくだりいるかァ!?」
無駄に長い。
普通に工場長は女なんです、でいいじゃないか!
もう正体バラしてやろうか!!と思ったが、銀時がまた口を開いたので留まる。
「お前山崎とか言ったか・・・?
お前の体に霊を降ろして除霊するから。」
え、と拍子抜けな声を出すザキ。
気が引けず、拒んでいる。
山「除霊ってどーやるんですか?」
やっぱりコイツも信じてるみたいで、言葉が控えめだ。
「お前ごとしばく」
銀時は清清しい顔で言うと、神楽が軽い準備体操を始めた。
山「なんだそれ・・・誰でもできるじゃねぇ―――
ぐはっ!!」
ザキの訴えは虚しく、腹に神楽の拳が食い込んだ。
「入りました。霊入りましたよ〜」
『霊っつーかボディーブローが入ったように見えたんすけど』
きっとこいつ等俺にバレてないと思ってる。
そりゃ、そう思うだろうけど・・・。
まず知らなくても声で分かるし、行動でバレバレだろが・・・。
「違うよ、私、入りました」
神楽が気絶したザキの後ろでそう言うと、続けて言葉を繋げた。
「えー皆さん、この工場は潰れますが、責任は全て私・・・」
土「オイ!工場長じゃねーか!!」
神楽が口にしたのは工場長のセリフ。
もろ自分からバラしてるだろうがぁ!!
もういい。
それにしても、喉が渇いた。
やっぱ夏は飲み物がねぇと・・・。
『ちょっとお茶持ってくるよ』
言いながら立ち上がると、総悟が顔だけこちらに向けて少し笑った。
沖「いってら」
なんか・・・この後あの三人どうなるんだろう・・・。
総悟が笑ってる・・・。
やべぇ・・・なんか寒気してきたわ。
***
縁側を通り、台所まで向かうと既に大きな盆に数個の冷茶の入った湯飲みが乗せてあった。
『あの、これ・・・』
近くにいた女中さんに声をかける。
振り向いて俺の顔を見ると、優しく微笑んだ。
「後でそちらに持っていこうとしていたんです。今すぐにしましょうか?」
重そうな盆を両手で持とうとする。
それを急いで制した。
『あ、いいです。自分で持っていきますから』
中のお茶が零れない様にそっと盆の縁に両手を添える。
少し驚いた様に見せる女中さん。
「でも・・・」
『俺にやらせてくださいwついでですから!』
半ば一方的にそう告げて、ゆっくりと歩き出した。
同じ道を辿り、皆の場所まで戻る。
外では蝉が思いっきり鳴いている。
『お茶お持ちしましたァ!!』
まずは局長である近藤さんに湯飲みを渡す。
近「おうサンキュ」
それを笑顔で受け取り、一口飲むと、上手いと告げた。
その時ふと視界に入った、全身をぐるぐると縄で巻きつけられ、そのまま木に吊るされた三人の姿。
見た瞬間、無意識に言葉が出た。
『ゲ…』
そうだった…コイツら吊るされるんだった…。
忘れてた・・・。
お茶を一口口の中に流し込むと、
俺は急いで靴を履いて木の元へ駆け寄った。
三人の視線が俺に注がれ、その瞳は助けを求めていた。
まず一番死にそうな神楽を抱える。
下向いている頭をまず上げないといけないので、
体を起こし、木に括られた紐を外す。
『神楽・・・大丈夫か?』
神「…なら助けてくれるって信じてたネ!!」
声をかけると意外にも元気に反応した。
ありゃ、二人の方がやばかったかもしれない。
銀「オーイくーん!!僕達も助けてェ!!」
『お前ら男だろ、我慢しやがれ』
神楽を地面に下ろすと、全身に巻かれた縄を解いた。
縄は意外にも複雑で、解くのに時間がかかる。
その間、何度ももがく二人の悲鳴が聞こえた。
土「もSだが総悟に比べたら紳士だな…」
神「あ〜気持ち悪いヨ」
下を向いて気持ち悪そうに唸る神楽。
俺はその様子を横目で見つつ、刀を抜いた。
「え、ちょっ・・・何する気?君!?」
二人の言葉には耳を貸さず、
俺は銀時と新八の縄を一気に刀で斬った。
巻き添えを食らわないように、瞬時に退却をしようとした瞬間・・・
神「!!ありがとネ!!」
『ぅえっ!?』
いきなり後ろから抱きつかれて、そのまま体制を崩す。
や、ヤバイっ!!
危険を察知した時には既に遅し。
―ドシャァアッ―
俺はしっかりと巻き添えを食らった。
『オ゛エ゛…』
俺が一番下で、その上に銀時、新八。
俺が巻き添えを食らった原因となった神楽は
危険をいち早く察し、素早く逃げた様だ・・・。
『早くどきやがれ新八!!
おまっ、ただの地味なツッコミの分際で何一番上になってんだ!!』
怒鳴りつける俺。
つか、マジ苦しいんですけど。
だって上に100kg以上あるものが乗ってんだ。マジ死ぬ・・・。
新「はっ!はい!スミマセン!!」
急いで上から退く新八。
これで残り約60s。
新八よりも重いものがまだ残っている。
『銀時、早く退けェ!重いィ!死ぬっ!!』
死にそうになりながらも、必死で訴える俺。
俺の辛さを知ってか知らずか、銀時はこう言う。
銀「お前女みたいな触感だな…」
このセリフにより、俺は完全にキレた。
『退きやがれってんだァ!!コノクソ天パー!!!』
―ドカァアアアッ――
力の限り俺は奴を蹴り飛ばした。
その一回で吹っ飛んだが、俺は立ち上がると何度も何度も蹴りつけた。
こっちは死にそうなのに、感触がどーのこーの・・・・・・死ねっ!
***
土「本来ならてめーら叩き斬ってやるとこだが
生憎てめーらみてーのに関わってる程俺達も暇じゃねーんだ。」
土方さんは3人に向かって消えろや、と言う。
銀「あー幽霊怖くてもう何も手につかねーってか」
お前も幽霊苦手だろうが
まだ俺の怒りが収まらないらしく、銀時に対して冷たい。
神「トイレ一緒についてってあげようか?」
可愛そうだから、と、神楽は土方さんに対して馬鹿にした様に笑う。
すると反応したのは土方さんではなく、その横の・・・
近「トイレの前までお願いします」
土「お願いすんのかいィィ!!」
知ってたけど、知ってたけどさ。
もう近藤さんとか局長とか面倒くさい。
もうゴリラでいいじゃん
こんな奴、ゴリラでいいじゃん
近「さっきから我慢してたんだ」
神「ホラ逝くヨ」
神楽…漢字間違ってるよ・・・。
いいの?ねえゴリラさん、いいの?逝っちゃうよ?
土方さんが、少女についていってもらってトイレへと向かうゴリラに向かって、
アンタの人生それでいいのか!!と叫んでいた。
ホントだよ・・・。
土「まさか幽霊騒ぎで如きで隊がここまで乱れちまうたァ・・・」
大きなため息をつきながら、考える土方さん。
土「相手に実体が無しときちゃあこっちもどう出ればいいのか」
真剣に成す術を考えている。
俺も考えるべきだろうか?
あ、いや・・・。
でも実体はありますよ、天人ですから。
だから、バズーカや刀で何とかなるんで・・・。
土方さんが真剣に考えていると、
馬鹿にした様な顔した銀時が寄ってきた。
銀「え?何?幽霊なんて信じてるの?
痛い痛い痛い痛い、痛いよ〜お母さ〜ん!ここに頭怪我した人がいるよ〜!」
片腕を抑えて痛がるマネをする銀時。
お前もめっちゃ怖がりだろうが。
土「お前いつか殺してやるからな」
怒った土方さんに、総悟が声をかける。
沖「まさか土方さんも見たんですかィ?」
その問いに、土方さんは昨晩の事を思い返しながら答える。
土「人間じゃねェ妙なモンの気配は感じた。」
土方さんがそう言った瞬間・・・。
銀沖「痛い痛い痛い痛い痛いよ〜お父さーん!」」
ドSコンビ二人の声が揃った。
沖「絆創膏もってきてェェ!!
できるだけ大きな人一人包み込めるくらいの!」
凄いコンビネーションだ。
尊敬、尊敬。
ここで俺が参加しないのは、ちょっとした優しさだったりする。
土「おめーら打ち合わせでもしたのか!!」
実際いるのに信じてもらえない土方さんを見るのも面白いけど
やっぱりちょっとかわいそうだ。
『俺も、赤い着物の女見たよ』
俺がそう言うと、周りの時が一瞬止まった。
「「えッ!?」」
数秒遅れて返ってくる応答。
え、こっちが、え?だよ。
思ったよりも彼らが食いついたので、そのまま俺も続ける。
ゆっくりと、真剣な顔をして。
『昨日の夜土方さんが見たときに・・・一緒に見た』
土方さんの方を向いてみると、
見たんなら早く言え、と返された。
銀「マジで!?、頭おかしくなったか?」
あ、頭がおかしいのは元からか、と続けて言う銀時。
殴ってやろうか、お前。
『おかしくなんてねーし!
それに、銀時は幽霊が怖くて信じたくないんだろw』
銀時にしか聞こえないように、小さな声で耳打ちをする。
その後、頭で意味を理解した銀時は慌ててた。
銀「!?なっ、なわけねーだろォ!!おっ…俺は…」
『はいはい』
この慌てる様子がかなりウケた。
マジで面白いぞ、コレ。
俺が笑っていると、
新八が何かを思い込む様な表情になった。
『・・・どうした?』
新「・・・確かそんな怪談ありましたね」
「!」
新八の発言に皆が反応する。
俺はそこで知っていたので、普通に耳を傾けた。
新「僕が通ってた寺子屋で一時そんな怪談が流行ったんですよ。
え〜っと、なんだっけな?」
思い出すように、頭を捻る新八。
少しだけ覚えていた俺は口を挟む。
『夕暮れ時に、授業が終った生徒が寺子屋で遊んでいると・・・』
ハッキリとした声ではなく、ちょっと気持ちも入れてみた。
もともとこういうの苦手だけど、二人を怖がらせるの楽しいから。
新「さん知ってるんですか?」
『お、おう。俺の通ってた時もやってたんだ』
少し焦ったが、なんとか嘘を言って誤魔化す。
新八はもう一度俺の方を向いたが、再び話し出した。
新「もう誰もいないはずの校舎に・・・
赤い着物きた女がいるんだって。
それで何してんだって聞くとね・・・」
其処まで言った時だ。
俺は来る、と思った。
ある人の悲鳴が。
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
思った瞬間、近藤さんの悲鳴が聞こえた。
銀時と土方さんは無言で頷いて走りだした。
こういう時だけいいコンビなのになぁ・・・。
息を軽く弾ませながら到着すると、
神楽は近藤さんが入っているであろう個室のドアをノックしていた。
銀「神楽、どーした!?」
神「チャックに皮がはさまったアル」
「あ!!」
土「どけ!!」
思いっきりドアを蹴り飛ばす土方さん。
ドアは勢い良く開いた。
「「……」」
銀「何でそーなるの?」
其処には便器の中に頭から突っ込んで逆立ちしていた近藤の姿があった 。
〜後書き〜
こんにちは管理人の漣です!もちろんさんは銀魂を知ってるわけだから、この話を知ってるというわけです・・・。
でも知ってるのは5巻の内容までにしますね!話がつまんなくなっちゃうし・・・
これからもよろしくお願いしますw