やっぱり最後は笑顔で



第三十四訓 やっぱり最後は笑顔で




爆破された建物

そして砂煙の中から現れた高杉晋助



『たっ・・・たたたたた高杉ぃ!!たたったったた、たっかすぎっ!?』
土「しつけぇよ!!何でラップ調!?」


いやだってねぇ
そりゃ・・・ねぇ


『何で此処に高杉が居んだよっ!!』

高「あ〜・・・道に迷った?」

『お前道に迷って爆破したのか?ぇえ?
そんで道に迷ったらその男を捕まえてんのか?あん?』

高「ホントスゲェよな。俺が歩いた寸後に爆発するんだもんな。」

『お前のせいだろυ』



つか、何?
何で此処にいんの?いや、マジで。
俺本気で言ってるから!

え?何?
何でもがく親玉を引っ張ってんの?

つか、何で真選組は驚かないの!?



銀「た・・・かすぎ・・・。お前なんで・・・。」

沖「・・・テメェ・・・こんなとこで何してんだぁ?」
土「大人しくお縄につく気になったのかよ。」


あ、やっぱり真選組や万事屋は関係無いのね。



高「オイオイ。コイツのために親玉ひっとらえてやったってぇのに、恩を仇で返す気かよ、オイ。」

俺を顎でしゃくる。

え?何?俺が悪いの?



沖「恩だぁ?もう親玉を倒す必要の無い今だからこそお前を・・・」


総悟が話している途中だった。俺は口を出す。


『まっ・・・まさか・・・高杉俺のこと・・・。』

高「お前の思ってる様な事は断じてないから安心しろ。」


そらそうだわな。
冗談に決まってんじゃんかよ。


沖「、テメェ邪魔するんじゃねぇやぃ。」

『え?何?何のこと?』

沖「ぶっ殺すぞ。」

兄「YA−HA!」

沖「・・・・・・何やってんだ?」

兄「"ぶっ殺す"と"マウスシールド31"をかけました。」

沖「兄妹諸共ぶった斬る!!」


今にも飛び掛りそうな総悟。
俺達兄妹は走り逃げる。アレ?俺達何しに来たんだっけ?

近「まぁ、待て総悟。」

暴れる総悟を抑える近藤さん。

沖「邪魔しねぇでくだせぇ。
ここいらで一発渇入れとかねぇと今後ヤバイんでさァ。」

近「気持ちは分かるが此処は抑えろ。まずは高杉だ。」

高「あ?」


近藤の突然の名前を呼ぶ事に驚く程でも無いが気の抜けた声を出す高杉。

同時に俺達も止まった。



近「高杉、お前のお陰で家を襲撃した奴らを倒す事ができた。だから、今回は見逃そう。」

土「何!?何言ってんだ近藤さん!!」


土方さんが近藤さんに反対をする。
過激派攘夷浪士が目の前に一人で立っているんだ。
絶好のチャンスを逃してたまるかと土方さんは言う。


『そうっスよ!何でコイツを生かしておく必要があるんだ!!』

高「テメェは言える立場か。」

『すんまっせん。マジで痛いんで、何回目か分からないけど離してください。すんまっせぇん!!』


久しぶりに鷲掴みされて赤くなった顎をさする。
手加減とかしろよな。まったく。


沖「てか、火事の時も思ったんですけどねィ・・・お前ら知り合いなのか?」

『へ?』

兄「・・・そういやそうだな。幕府の人間が攘夷と繋がってたとなっちゃ、生かしておけねぇなぁ。」

『お前は妹を殺す気か。』

兄「殺しはしねぇ。いびってるだけだ。」

『あ、そうですか。ケッ。クソ兄貴が。

兄「今ちゃんと聞こえたぞぉ!!兄ちゃんちゃんと可愛い妹の暴言聞いたぞぉ!!」

『聞こえる様に言ったんですぅ。つかマジキモい。』


反抗期ぃ?としくしく泣く真似をする兄ちゃん。

あ〜うっぜ。
あ、泣くのやめて俺の顔みたらまた泣く真似しやがった。余計うっぜ。


『たまたま以前出会って取り逃がしただけですぅ。』

高「あ?お前わざと俺を逃が・・・
『高杉ったらバズーカ俺に向けるんですもん!!いや〜参ったなぁ!!』
お前スゲェ汗だぞ。」


そりゃそうだろ。

俺が冷や汗をかいていると、銀時が高杉に近付いてきた。

銀「高杉、お前変わったな。」
高「クク、そうか?」


後は何を言っているのか分からなかったけど、

俺の知ってる限りじゃ仲の悪かった二人の顔は和らいでいた。





『てか、何でホントに・・・。』


高杉だけに聞こえる声で問う。


高「ああ?ただの恩返しだ。」

『は?』


拍子抜けだった。俺、何かやった?
ねぇ、何かやった!?


高「コレ返しとく。」


俺の手に何かを無理矢理持たせる高杉。
何?コレ。


高「じゃーな。」

『えっ・・・ちょっ。』


俺が止めるのにも拘らず高杉は既に行ってしまった。

沖「待て高杉ぃ!!」


総悟は高杉の後姿に叫ぶ。
だが、戦い疲れたせいで体力が無かった。

地べたに座り込んではぁとため息をついた。


俺はそんな総悟を横目で見ながら手をそっと開く。
握っていたものを見てみた


『・・・ハンカチ・・・。』


コレ、見覚えがある。
びりびりに2枚に破れたハンカチは、かつて俺が高杉の腕に巻いたものだった。

恩返しって・・・アレのことかよ。
ったく。

本当は結構良い奴じゃねーの。


俺は知らず知らずのうちににやけていた。




沖「何にやけてんでィ。」

『っ!何もねぇよ!』


ハンカチを懐にしまって総悟に言う。


銀「さてと。帰るか。」

立ち上がって頭を掻く銀時。


神「めっさ動いて少し疲れたアル。」
新「早く帰っていっぱい食べて寝ましょう。」


傘に体重をかけて立ち上がる神楽に引っ張られる新八。

そのまま三人は俺達を背にして歩き始めた。


近「・・・今日はホント疲れたな。」

土「帰る前に病院寄らねぇとマジ死ぬ。」

沖「そのまま死んでくだせぇ土方さん。」

土「お前が死ね。」


万事屋に続いて真選組も歩き出す。


『だな。』

にっと笑って俺は後を追った。







***





アレから万事屋と真選組は共に1週間程病院に厄介になった。
あの大怪我で1週間で済んだ事自体に吃驚だ。

いや〜ホントスゲェな。



俺は結局、また皆の笑顔に戻ってきたんだ。

そして俺は再び、此処を去る。



俺の前の居場所へ。平成へ。




坂「本当に良いかが?」

『ああ。頼むよ。』




坂本を見つけた俺。
漫画の記憶を頼りに”キャバクラすまいる”に行ってみたら
おりょうさんに引っ付いて酒を飲んでいた奴を見かけた。

ソレが毛玉だった。


まさかこんなに簡単に見つかるとは・・・。



坂「・・・もう奴らとは会えないのじゃぞ。」

『分かってる。』

坂「・・・・・・ぬしの決意は固い様じゃきな。戻ってきたかったら戻ってこりゃええ。」

『今んトコそーゆー予定は無いんだけどυ』

坂「まあまあ。
とにかく、今から平成に行く方法教えてやるきに。しっかり聞いておくぜよ。」

『おう。』


思い声で言う坂本。難しいことなのだろうか。
俺は真剣に聞くために坂本に近付く。


坂「・・・コレを飲むんじゃ。」

『は?それだけ!?』


手渡された小瓶。
なんか懐かしいんですけど!!

なんか怪しい気配ぷんぷんなんですけど!


坂「安心するき。これは体を少し縮めた状態で戻れるんじゃ。」

『・・・どゆこと?』


つまり、このまま戻ればあちらの時間帯は6月。
俺が此処に始めてきた時から一度戻った時は時間は経っていなかったが、今は遅からず時間が進んでいるらしい。
それでも進む時間は遅いので、が少し老ける事になる。
だから少し記憶は消さず、体を元に戻すのだ。



小瓶には波形の記号が書いてあった。
此処に”江戸〜平成19年”と書き込む様だ。


坂「ちなみにコレ、平成から此処への方法は”平成〜元の世界”って書いて飲むだけだから。」


簡単だな、オイ。


坂「じゃ、元の世界でも頑張るきに。」



俺は坂本に礼を言うと、そろそろ退院していて元気に騒いでいるであろう真選組に戻った。








***






『ただいまぁ〜』


俺が戻ると、例の三人が玄関に立っていた。

『・・・何してんの?』


土「・・・こんな時間まで何やってたんだ、オイ?」
沖「ま、なんとなく分かるけどねィ。」
近「・・・お前・・・



帰る気か?」


近藤さんの言葉がやけに強く心に響いた。

ずっしりと胸に圧し掛かる。
ああ。暫く会えなくなるんだな。
てか、もう会えないかもしれない。


『ああ。今日は皆に挨拶するために屯所に戻った。』


にっと笑う

辛かった。の笑顔を見ることが。
いつもは勇気付けられるその笑顔が
今では苦しめられていた。


沖「・・・挨拶も無しで行っちまうのかと思ったぜィ。」

『はっ。そりゃないよ。』


両手を曲げて上げ、わざとらしくフッと言った。


土「・・・だと思ってあいつらも呼んでおいた。」

『へ?』


視線を奥に向けると、いつもの万事屋が居た。
兄ちゃんも、俺を見てる。


神「・・・帰るアルか、。」

新「悲しいですけど、さんが決めた事なら。」

銀「、元気でやれよ。」


今俺に悲しい声は欲しくなかった。
だからこそ、万事屋の元気な声が嬉しかった。


『あんがとよ。』

最後に会えてよかったよ。皆に会えて。




『じゃ、皆に会えたわけだし、そろそろ行くよ。』

兄「。」

『ん?』

兄「俺はこっちからお前を見守ってるからな。」

『んな死んだみたいに言うなよ。ま、こっちで頑張ってよね。』



そのまま庭に向かう。すると、いつの間にか庭には全隊士達が集まっていた。

副隊長。今までありがとうございました!!」

「絶対に、副隊長のことは忘れませんから!!」


泣きながら言う隊士。ったく、だらしないな。
でも、凄く嬉しかった。


、またあの話しような。」

『気が向いたらな。』


此処には相変わらずアホな奴も居るし。
手放したくない平和が此処にはあったけど、それでも俺は戻る。


『この刀。兄ちゃん頼んだよ。』

二刀の刀を兄貴に託す。

そして皆に見守られる中、俺は小瓶の蓋を開け、口に流し込む。

そして、消えかけ、透けていく
最後には叫んだ



『皆に会えてよかった。最高の仲間ができて良かった。江戸滞在中、スゲェ楽しかったよ。』


だんだん体が透けて向こう側が見えてきた。

ああ、もう後には戻れない。


後少しというところだった。



沖「!!」


俺を呼び止める総悟。最後の最後で総悟に呼ばれるとまだ居たくなっちゃうじゃないか。

総悟は透けた俺の腕を引っ張ると、顔を近づけた。
そして、頬にそっと伝わる微熱。

『なっ!?』

沖「そんなほっぺにチューくらいで大袈裟な。」

『大袈裟って・・・。』

沖「フッ・・・元気でやれよ。。」

『・・・分かってるって。また会おうな。』


今までで最高の笑顔を見せて、は消えた。



兄「総悟。」

沖「なんでィ。」

兄「この刀はお前が持っててくれ。」

沖「は?」

兄「・・・お前が持ってた方がいいだろ。」


の刀を俺に差し出す。
俺はその刀を両手で取った。

そして、その刀を見ながら俺は思う。



。元気でやれよ。

再びお前に会ったら、俺は今度こそ気持ち伝えるわ。


手放してやっと気付いた本当の気持ち。
この気持ちはお前が戻ってくるまでずっと心の中にしまっておきまさァ。

だからその日まで。元気でな。



兄「最後にさ、俺らで未来のに届く様に叫ぼうぜ。」

土「は?」

近「おっ?いいな、ソレ。」
土「届くわけねーだろυ」


沖「いえ。」

土「な、何言ってんだ総悟。」

沖「やりやしょうぜ。なぁ、皆。」


総悟の掛け声に隊士達は"おー!!"と叫んだ。



銀「お前なら絶対ぇなんでもできっから、頑張れよぉ!!」

沖「俺の居ねーとこで泣いてたら承知しねーぞ!!」


先走る銀時と総悟

土「・・・お前ら・・・。ま、こんな日はいいか。よしテメェら好きなだけ叫べぇ!!」

「「おぅ!!」」



この言葉、に届け。









***








『っ!!』

起き上がる体。一瞬激痛が体中に走った。
そして同時に辺りを見渡す俺。

其処は・・・いつもと変わらない・・・





平成のきったねぇ俺の部屋だった。




戻ってきたんだ、俺。

ああ。もう皆に会えないのかな。




服装は俺が平成に居た時最後に着た服だった。

アレ?この服は屯所に置いてきたんじゃなかったっけ?

でもま、いっか。



ああ。また会いたいな。




ピピピッ。

『ん?』

携帯の音が鳴った。
着信音は総悟が勝手に入れた曲で、題名は”サディスティック星の王子様”だった。
コレでいつでも俺を思い出せと冗談を言われたのを覚えてる。
結局そのままにしてたんだな、俺。


着信相手の名前を見てみる。

『・・・沙希?』


この世界に戻ってきてすぐにかかってくるなんて、なんてタイミングだって思った。
すぐに出てみる。


『はい、もしも〜し?君です。』

”あ、!?やっと繋がった!!
何ヶ月も学校来ないし、電話も繋がらない。家に行っても気配が無い・・・何処に行ってたのよ!”

『あ〜・・・何処って言われても・・・。』



言えるわけないじゃないか。
銀魂の世界に行ってたよ〜なんて。


”でもま、話せてよかった!海斗がねぇ〜・・・・・・。”


そのまま雑談を始める沙希。
どんだけ長く話すんだ。女って奴は。

あ、俺も一応女か。



”話聞いてくれてありがと〜。じゃーね。”


暫くすると、一方的に電話を切った沙希。
変わらないな。ホント。


ふと携帯の画面を見る。

『ぁ・・・・・・。』


途端に涙が出てきた。


携帯の待ちうけには、互いの胸倉を引っ張り合う土方さんと総悟。
その前で笑う自分に、殴られる近藤さんが映っていた。


ははは。
ホント、皆に会いたいな。
さっき戻ってきたばっかなのに、涙が出てきた。


携帯のデータフォルダを開く。

どんどん出てくる真選組の写真や、万事屋の写真。

俺の涙は止まらなかった。


でも、笑顔が自然と出てきた。
画像を見るたびにどんどん笑顔になっていく自身に気がつく。


俺はいつもこいつらに元気付けられてたな。


また暫く頼むよ、皆。




すると、何故か皆の声が聞こえた様な気がした。



”そっちでも頑張れよ”



・・・ありがとな。皆。

俺、絶対皆のこと忘れないから。

この携帯のデータは容易く消せても、俺の記憶からは排除できねーからな!!


俺が戻るまで待ってろよ、皆!!








俺は一人じゃない。





俺は皆といつも一緒だ。











『Positive thinking』




俺はいつまでもプラス思考で生きていく。




END

〜後書き〜

※この話は半年前に書き上げたものです。


こんにちは。風雅漣です。
『Positive thinking』第一期どうでしたか?
第一期最終回、超微妙な感じでグダグダ感満載でしたねぇ〜

最終回は自然とシリアスになってしまうもので・・・
・・・本当は予定では後一話くらい後にしようかな〜と思っていたのですけどね
此処で終わらせていただきました。


去年の夏からですから、
7.8月〜6月1日の5,6ヶ月間ですね。
長かったのか、短かったのか・・・。

ギャグだと言っておいて、シリアス多かったですしね。
銀魂自体もそーゆー感じだからいいのかな〜みたく軽いノリでやってました(オイ


そういえば、最後までヅラ出さなかったなぁ〜(今更
いやですね、本当に一回くらいは登場させようかな〜なんて思ったりもしたんですけど、
やっぱりヅラは難しいんです。はい。
短編でも一度も書いた事ないですからね。ホント。
あらま〜・・・。

これは沖田寄り男装トリップ夢ですが
『これで沖田寄り?』と思うかもしれません。

ですが、これは第一期なので、次回に続きます。
それまでお待ち下さい。

管理人は気まぐれですので、グダグダと活動していましたが
最後まで書けてよかったです。はい。


これからは来年まで更新しないわけではありません。
これからは序所にかな〜りのろく更新しようと思います。
これからはイラも多いと思います。

第二期まで末永くお待ちを。


本当に、こんなグダグダで面白くもなんともない夢を読んでくださってありがとうございました!!

これからも漣と、他連載をよろしくお願いします。



07.06.01 風雅漣