記憶蘇る時、気持ち揺らぐ時、それが辛いか否か決めるのは自分だ



少し笑いを堪えた様な顔をし
右頬が夕日で赤みを帯びた総悟は俺に手を差し出して・・・


『ぅぅっ・・・・・・ぅぁ・・・。』


止まれ・・・

止まれよ



なんでっ

何で涙が止まらないんだよ




悲しくないのに

逆に嬉しくないのにっ





いつの間にか戻った体を動かして思いっきり走る





走るのを止めない

後ろを振りむかない





『はぁっはぁっ。』



だんだん息が上がってくる

呼吸が荒い



無理矢理走った俺の体は
もう限界なのかもしれない・・・





思い出した過去は少しだけ






『はぁっ・・・はぁっ・・・
俺・・・はっ・・・・・・












元々江戸の・・・











銀魂世界の人間なんだ・・・。』





第二十八訓 記憶蘇る時、気持ち揺らぐ時、それが辛いか否か決めるのは自分だ



っ・・・




今まで過ごしていた世界が夢となり


夢だと思っていたものが現実となる





すると
体に小さい衝撃がくる


ソレは冷たくて
だんだん体を重くしていく



『はぁっ・・・・・・雨・・・?』



いつの間にか暗くなった空から水が落ちてくる



俺の顔を
腕を
背中を
足を・・・

服の上から雫が伝っていく




小雨がだんだん大粒となり

見上げた俺の顔に当たっていく



足が重い
体が重い



『何なんだよォ・・・・・・。』



俺が何かした?

ホント、何だってぇの!!

つか、この小説にあってねーよ
何しんみりしてんの俺っ!






『はぁっ・・・はぁ・・・はぁ。』



足を遅め

呼吸も軽くなる

終には足を止める




自分の茶色い髪も水を吸い込んで重い


『はっ・・・・・・はは・・・ははは!!』



足を止めて冷静になって頭の回転が良くなると

なんかおかしくなって笑いがこみ上げてきた




・・・」


『!?』





すぐ後ろから声がした

振り向けば・・・・・・



『総悟・・・?』





同じく体が元に戻った総悟いた





目が見れない

何でか、、目を真っ直ぐ見えない





沖「さっきなんで逃げたか話してもらおうか?」



濡れて降りた髪の間から見えた総悟は

俺と同じように濡れてぐしゃぐしゃだった





『な〜んでもないよ〜!
ゴメンな、マジなんとも無いからさ。』


沖「なんでもないなんて嘘だろーが。」


『嘘じゃないって!さl屯所戻ろう!!』



総悟に背を向け歩き出す俺



沖「待て。」




腕を掴んで俺を止める

俺は振り向かずに目は地面を見つめる



沖「オイ、俺の目ぇ見ろィ。」


無理矢理顔を引っ張られ、真正面から向かせられる



『ホラぁ、目見てんじゃんっ。』

沖「目・・・

泳いでんだよ。」



『っ・・・。』




何も言えない

確かに自分でもわかってた



目を逸らそうとしている事も

逸らして目が泳いでる事も




自分の気持ちが見透かされてる事も




沖「一体どうしたんだよ!!」

『俺は・・・


・・・家・・・俺の両親に隠されたんだ…。』








沖「・・・・・・どーゆー事でィ?
前もんな事が言ってたな。」



『総悟、記憶無いかも、
覚えてないかもしれないけど



俺達過去に会ってんだぜ?』



沖「なっ!?」


『吃驚しただろ?
でも、ホントなんだよ・・・。ホント・・・なんだよぉ・・・。』




俺の声から力が抜け

膝はガクッと揺れて地面に付く



『アレ?立てない・・・。

アレェ!?』



足が動かない!?


えっ!?
ちょっ!!
嘘だろ!?


腰が抜けるのはアニメの世界だけだと思ってた!!

だって、、

俺そんなの初めてだよ!!




あ、今いる世界はアニメの世界か・・・。
いや、でも俺が此処の住民だったとしたら此処は現実で・・・

いや、もしかしたら俺がアニメの世界の住民なのかもしれない・・・



うーんと考えていると


沖「ぷっ・・・あはは!!」

総悟が笑ってた


『な・・・何!?』




沖「なんか真剣な顔して膝の力緩めたと思ったら
いきなり驚いた顔になって
そしたらにやけた顔になって
また驚いて
深く考えて・・・・・・。
お前の表情見てたらマジでおかしくてさ。」



『人が真剣に考えてるのに・・・・・・最低だな、オイ。』



沖「いやぁ、真剣なのはわかってんだけどねィ
お前がにやけた面した時はヤバかったな。」


『な、ソレは俺を励まそうとしてるのか?

馬鹿にしてるのか?





沖「さぁ?」

『斬るぞ。』





沖「冗談でィ。


そうさなぁ・・・・・・自分のためかねィ」






総悟はそう言って空を見上げた




沖「ホントは薄々感付いてた。
小さいお前見て、なんか違和感があったんでィ。


そーゆー事だったのか・・・。」





『松平のとっつぁんに聞けば、、何か分かるかな?』

沖「聞きに行ってみるかィ。」

『うん。』








『それにしてもさ・・・。』

沖「?」

『体すぐに戻ったな。』

沖「あ、そういやそうだな。
24時間で元に戻るっつってたっけ?」

『ああ。数時間しかもってねーじゃねぇか、坂本の野郎!!』

沖「そんなにキレる事かよυ。」



だって・・・


きゃわゆいチビ総悟がもう生で見れないじゃないかッ!!



もっと見ていたかったぁ

坂本の野郎ッ!!
今度会ったらただじゃおかねぇっ


俺の腐った心はそう簡単には許さねぇぜ ┐(´ー`)┌


どうだっ
まいったか!!(は?



沖「オイ・・・・・・大丈夫か?」

『え、心配してくれんの?』


うるうる、、、


沖「キモいからその顔ヤメい。」

『・・・酷くない?』






頭が大丈夫かって聞いたんでィ。と頭を一発軽く殴られた


でもコレ、、


『一種の愛情表現?』

沖「馬鹿か。」




『・・・へへっ。』


なんか元気出てきた

何に落ち込んでいたのかも
何に不安がってたのかもわかんないけど

なんか今の気分は晴れてるよ




『総悟、ありがとな。』

沖「は?俺何かしたっけな?」

『ぶぁ〜か。』



笑いながら
俺は総悟に言ってやった




『ソレにしても今何時?』

沖「え〜っと・・・・・・あ、腕時計落とした。」

『マジッ!?』

沖「お前が走って逃げるからでィ。

折角小さくてか細い腕に会う様に調節したのに
お前を追いかけてたら
体が戻った事忘れて、そのままはずれちまったじゃねぇか。」

『ソレは半分俺のせいでもあるけど
半分は違うっ!!断固否定だァ!!』


沖「・・・お前、ソレわざと難しい言葉使ったろ?」

『あ、分かった?』




沖「なんかお前のパターン分かってきたかもしれねぇなぁ。」

『じゃ、俺の事もっとよく知る?』

沖「馬鹿か。」




ははっ

やっぱ総悟は面白ェや

俺のストレッサーでもあるけど
元気の源でもあるかも・・・。



それにしても・・・

ぅ〜・・・

寒い。
やっぱりずっと雨に当たってるのはダメかも。



『・・・ふぁっ・・・

ふぁっくしゅんっ!!


沖「うわっ!汚ェっ!!」

『酷っ!!こっちは寒さで死にそうなのにっ。』

沖「ソレはこっちも同じでィ。
早く雨宿りしよーや。
このまま雨に濡れ続けると風邪引きそうでさァ。」

『もう、風邪引いたかも。』

沖「安心しろ。馬鹿は風邪引かねェ。」

『喧嘩売ってんのか?』





刀を抜こうと腰に手を当てるが
今は子供服。
刀も置いてきてしまった・・・。




ん?
ちょっと待て?


『今子供服じゃーんっ!!』

恥ずかしっ
ずっと子供服のまま走ってきたのか・・・



ま、サイズは大きめの奴着てたから
少し伸びる程度だけど

やっぱりデザインが子供で
水で濡れてただでさえピチピチなのが余計ピチピチになっているのはキツい!!



沖「今更じゃね?」


そういう総悟は俺よりはキツそうでは無かった


沖「いつ戻ってもいいように、大きめの選んでおいたんでね。」


うっわ
嫌味かッ!!


『俺だって一応っ・・・。』


沖「ホラ、コレ着ろィ。」



俺の言葉を遮って渡されたものは・・・

白い紙袋だった



『コレ・・・・・・。』

沖「お前の着流し。雨に濡れてビショビショだけど・・・。」

『なんで・・・?』


沖「坂本が持ってたんでィ。
旦那の家に行った時に玄関に置いてったらしくてなァ
お前追いかける前にその紙袋取りに行ってから追いかけたんでさァ。」


『じゃ、総悟のも?』

沖「その中に入ってらァ。」

『着ればいいのに・・・。』

沖「お前追いかけるのが先決だったんでィ。
お前方向音痴だから。」



『・・・・・・よくご存知で。』






沖「一先ずはどっか屋根のあるところ入って着替えようや。」

『じゃ、あそこでいいんじゃん?』



俺が指したのは

川の近くの鉄橋の下



沖「あ、いいかも。」





歩行者、自転車専用の橋だったから
川からの高さが低い

丁度雨もかからなかった




『・・・じゃ、着替えるから
あっち向いててくんない?』

沖「何ででィ。」


そういう総悟は上のシャツをもう脱いでいた

上半身が曝け出し、筋肉が目立つ





こんな細い体や腕なのに

筋肉はずっしりついていた





へぇ・・・
こんなに細いのに。。。
やっぱり鍛えてるんだ。



てか、
”曝け出し”ってなんか言い方エロい(馬鹿



沖「きゃ〜変態ッ!!」

『は?』


沖「俺の体をじっと見て、この、エロス!!」

『パクリか?


大体、”何で?”ってありえないだろ?
俺、一応女だからっ!!』




沖「あ、そうだったんだ〜。」

『なぁ、そのいかれた頭殴っていいか?』



沖「・・・はいはい。
向いてりゃいいんだろィ。」


そのまま総悟は俺に背を向けた



俺は着替えながら総悟の背中を見つめる


意外と背中広いんだな・・・。
いつも隊服着てるといっぱい着込んでてわかんないけど

やっぱり男の子なんだなぁ・・・。




ぐっしょりと濡れた子供服から
しめっている様に濡れていた自身の着流しに着替える



なんか、、気持ち悪い。。

ま、我慢しなきゃな。



『いいよ。』

沖「じゃ、今度はがあっち向けィ。」

『何で?』

沖「俺の体隅々から見るつもりかっ!この、エロス!」

『なっ!!
馬鹿やろー!!普通に言え、普通にっ!』



体の隅々まで見るとか・・・

俺は変態かっつーの!



総悟は俺=変態ってイメージしかないのかよっ!!

・・・・・・・・・無いか。





否定できない自分が悲しい・・・。



沖「さ、いいぜィ。」

『ん。』


沖「じゃ、一旦屯所戻るか。早く着替えてェや。」

『だな。行こう。』




雨の中にまた戻るのか・・・

雨は好きだけど



暗い空から降ってくる雨は
なんか嫌だな



沖「あ、そうそう、。」

『なに?』

沖「お前これからその口調直したらどうだ?」

『・・・へ?』



言ってる事がよく分からないんですけどっ!



沖「だから、女の口調に戻せってーの!!


お前、昔は女口調だったろーが。」


『・・・え?そーなの?』



確かに平成にいた時ァ
スッゲェ小さかった頃は女口調だったさ

一人称が”私”だったさ



でも、この世界でも?



沖「少なくとも、
俺がいる前では女口調だったぜィ。」


『よく覚えてるなぁ・・・。』

沖「俺、お前と違って頭いいーからさ。」

『アレぇ?なんで今日はいつにも増してムカつくんだろ〜?』

沖「自分で考えろィ。」



総悟はそう言うと
走り出した




総悟に向かって大量の大粒が落ちてくる




『待てよ、総悟っ!!』



俺は雨水でだんだん色が濃くなっていく総悟の着流しを見つめながら

その後ろ姿を追いかけた









〜後書き〜


いや、ホント短いッスね、すみません。
しかもギャグが無いッスね、すみません。
ホントすみません。
何で謝ってるのかもわかんないです、すみません。
なんかブランクなんですよね、俺。
ホントすみません。
てか、俺今回すみませんしか言ってないですね
すみません。