トリップってホントにあるの?マジで?ホントに!?はい、本気と書いてマジと読むほどマジです






『ん……』


アレからどれくらい時間がたっただろう。

とりあえず目が覚めた。
頭がぼーっとする。
覚醒しないまま、とりあえずあたりを見渡した。



・・・・・・ここは何処ですか?








また知らないとこですかァァアァアアア!!!??







誰もいないのに自問する俺。
毎回思うが・・・自分でも痛いと思う。


知らない場所だが、とりあえず室内らしい。


見慣れない天井がまず視界に入って
体を起こせば狭く見慣れない和式部屋。



けれど、何処かで見覚えがある。





……何処なんだろう?




アレ?そういえば俺、どうしたんだっけ?

何で知らないところで布団に入って寝てんだ、俺?


首を傾げる。
と同時に体中に激痛が走った。


『ぐっ・・・』


そうだ。思い出した。


俺原チャリに撥ねられたんだ・・・


原チャリのバッキャロォォウ!!!








ああ・・・頭がズキズキする・・・。

これも痛い気な少女だからか?



ああ、そうか・・・。


あんの原チャリ野郎の所為だコノヤロー!!!

次会ったらただじゃおかねェぞ!!!




拳を握りしめる。
そしてきつく握り締めた拳を解いて立ち上がった。


まァいいや…
ひとまずここ出よ…


ジャンプが読みてェや…


着崩れた服を調えて、布団を適当に畳んでから首を回す。


『今週の銀魂ってどんなんだっけな?』



う〜ん、と小さく唸る。

あ、そうだそうだ・・・。確か――


視界に入った銀色に言葉を止める。

だがすぐ見間違いかと思い直して先週の銀魂を思い出そうとした。


「お…気が付いたか」



・・・なんか聞いたことある声が聞こえたような気がする。

え、何?
また幻聴?

俺最近幻聴多いな〜・・・


あ、さっきのはアレ、エスパー君だったから幻聴じゃないか。




「何この子さっきから・・・君頭大丈夫?」


今度のはしっかり聞こえた。
声のする方向へ向く。

すると逆光でよく見えないが170そこらの男が立っていた。


何コイツ・・・
俺がバカだと言いたいか?コノヤロー!!!


でももしかしたら…さ…


『あぁこれの事?』

今気づいたが頭に包帯がしてある。
きっとこの男が手当てしてくれたんだろう。


優しい人間なのなら、怪我の心配をしてくれているはず。


「ううん違う、頭の中。

ようするに脳内」




うっぜぇんですけどぉぉお!!!




『あんだとォコノヤロー!!
確かに頭ヤバイけど人には言われたくなかったわ!!!
人轢いといて何様だァァァァアアアアア!!!』


人の家だと言うのに怒鳴り散らす俺。
マナーがなってないと思うが、俺はイラついてて何も考えられなかった。

何よりも、この男の態度が許せなかった。



すると男は俺に近づいてきた。
逆光が弱まりだんだん顔が見えてくる。


「・・・・・・悪かったな・・・」


いきなり男はやさしい顔になり、俺の頭をやさしく撫でた。


男の顔を見て気づいた。



あ、この顔見たことある。



少しクルンとなっているが銀色のふさふさした髪。
赤色っぽい色をしたまるで死んだ魚の様な目。
低くハスキーのかかった声。


『ぎっ…』

「ぎ?」







『銀時ぃいい!?』




驚いた。
凄く驚いた。

この気持ちをなんと表そう?
ま、いいや。とにかく驚いた。


そして腐った俺には


物凄くうれしかった。





銀「え?何!?え?
何で俺のこと知ってんの!?」



話がつかめない銀時は俺に答えを求めるが
俺は一人自分の世界に浸っていた。




ってことは…ってことはてことは



やっぱり…




此処って銀魂ぁあ!!?









第二訓 トリップってホントにあるの?マジで?
    ホントに!?はい、本気と書いてマジと読むほどマジです




 



銀「え?どうしたの?で何で俺のこと知ってんの?
あぁアレか?銀さん有名人だもんな」



『違ェよ』




此処が銀魂の世界だと分かった俺は物凄くハイテンションになり
暫く自分の世界に入り込んでいた。

そして気づけば銀時がじーっと俺を見てて、やっとその存在を思い出した。


ごめん、やっと自分の中で整理できた。と一言銀時に言えば
なら教えてくれよ。何で俺の事知ってんの?と質問攻めを食らった。


その結果がコレ。
銀時は部屋の隅でいじけてしまった。




やっぱ銀時ってかわいいなァ…




はっと我に返る俺。


いかん!!
腐った考えをしてしまったァァァアアアア!!




銀「え、何?腐る?」

『え、声・・・出してた?』

銀「出してた」





オゥマイガァアア!!!パート2ぅうう!!






ってそれより…

俺・・・トリップしちゃってんだよな!!

銀魂の世界にトリップしちゃったんだよな!!




ってことはだよ?
こっちにきて最初に見た宇宙人は天人で…




次に会った爽やか美形青年は…



真選組一番隊隊長沖田総悟ォオ!!?


あ、そこ!
なんで説明口調なんだとか言わない!!


つーかなんであん時気づかなかったんだよ俺!
最悪だ!
俺も真選組で働きたかったよ!!


頭の中が暴走する俺。
そんな俺に銀時がいつの間にか読み始めていたジャンプを片手に声をかけた。

銀「何やってんの?」

『あ、ジャンプ…』

視界にジャンプが入って、俺はそこに釘付けになった。
先ほどまでジャンプの事を考えていたんだ。

読めるチャンスが来たらこりゃ読まなきゃ損でしょ!


銀「何?読みたいの?」

一度だけ首を縦に振ると、銀時はいいぜとすんなり貸してくれた。



『やった!さんきゅー!』



銀「・・・お・・・おう・・・」




〜銀時side〜


何コイツ…男なのに…
笑うとまあまあ可愛いじゃん!
ま、まあまあだけどね。まあまあだけどね。

ずっと笑ってりゃいいのに・・・


って…ダメダメ!!アイツは男だぞ!!






side〜


よっしゃぁジャンプ!!

スゲェうれしいし!
まさかあんなすんなり貸してくれるとは思ってなかったな!


ジャンプをパラパラと大まかに捲って銀魂を探す。

そして見つけると読み始めた。


ぅわ!ちゃんと続きだ!
やったぜぇ!!



とりあえず銀魂だけを読んでみてふと気づいた事が2つ。



1つは・・・
銀時って・・・銀魂読んでんのか?
普通自分が漫画になってるの見たらおかしいと思わないのか?

ってね。
ま、そういうの深くまで考えてると小説とか成り立たないな。
うん。止めよう。




2つめは、そう――


『そういやァ自己紹介まだだったね』


ソファで眠そうにしていた銀時に声をかける。

銀「ん?あぁ」


辛うじて意識があったみたいだ。
まあ、ちゃんと何言ってるか分かってんのかは確かじゃないが。


『俺は。17歳
性格はみんなにSで銀時に似てるって言われる』


銀「な〜・・・」

Sとかタチ悪ぃな・・・
Mの方がやりやすいってのに・・・。

・・・え?俺に似てる?



銀「の知り合いはみんな俺の事知ってるわけ?」

『え?あ、うん。
ホラ万事屋って結構有名じゃん!』


銀「・・・さっき違うつってたろーが」


あ、いけね。

『あ、いやいや。
さっきのは銀時が嬉しそうに言ってたからちょっとウザくて・・・。
うん。正直でよろしい』


銀「何コイツ。正直過ぎて逆にウザいんですけど。
ま、この際いいや。じゃあそれでは知ってる訳?」

『まあ、そーゆーとこっす』



そこまで言って悩む。
そうだよな・・・何で俺の事知ってんの?って思うよな。

どうしよう・・・。
どうやって切り抜けるんだ?

あ、一応このまま何も言わなければ大丈夫かな。


漫画は言わない方がいいな。
でも俺がこの世界の住民じゃない事は言った方がいいよな。

後先俺が怪我とかしたりして病院に連れていかれた時とか厄介だ。
その時にバレてもヤバイし。



『あのさ…銀時…』

どうやって言えばいいのか真剣に考える。
今日の俺は相当悩んでるよな。

暗い面持ちで銀時に言う。


銀「んあ?」


だがそいつは鼻くそ穿ってやがったよ。



こんにゃろう!
こちとら真剣なんだぞコノヤロー!


『鼻くそ穿ってんじゃねェェエエエエ!!!』


言うと行動すんのとどっちが先か、
俺は思いっきり銀時の大事なとこを蹴り飛ばした。



 


「ギィャァアア!!」


今俺の目の前で銀時転げ回ってます★


その様子を見ている俺は、にやりと笑っていた。


お前が悪いんじゃ
自業自得じゃ


そんな風に酷い事を言いつつ。
俺は苦しむ銀時の顔を見て楽しんだ。






鼻穿ってただけなんだけどォ



という銀時の心の中の声が聞こえた気がする。

涙目な銀時が俺に言う。

銀「俺が何したっての!?」


寝転がってる状態で、
しかも俺が見下ろしてる状態だから


今さ・・・


上目遣い&潤めなんですよ!!



きゃぁ〜わうぃい〜!!!



って…




『逆だわボケェェェエエエエエエ!!!』


銀「何が!!?」








***





銀時のわめき声は暫くして収まった。
やっと静まったところで話を切り出す。
その頃は既に太陽が沈みかけていた。



『・・・信じてくれないだろうけど。
俺未来からトリップしてきたんだよね〜・・・』


殆ど呟いた様な声だった。
腹に力込めて言ったところで、ふざけた様に聞こえるだけだ。
と思っていたら声にもなっていなかった。


銀「はぁ?」


思っていた通り、銀時は疑いの目で俺を見てきた。

なんか頭大丈夫ですか?みたく言われました。

精神科に行けだとか、
精神科紹介しましょうか?とか言われそうなノリだよね、コレ。




銀「頭大丈夫か?病院行ったがいいんじゃねェの?紹介してやるよ」


思いっきりビンゴなんですけど。
これってある意味才能なんですけど。



『だから言ったじゃん!だから言ったじゃん!
信じてくれないかもって!!ホントにトリップしてきたんだってば!!』

銀「はいはいそーですか」


必死に俺の気持ちを伝える。

分かってくれないだろうって分かってたけど
此処まで人の話を聞く態度がないなんて思ってもみなかった。



『マジだって言ってんだろ!!
本気と書いてマジと読むんだコノヤロー!!』

銀「否意味わかんねーよ」



ホントにSだ・・・。
さっちゃんの言った通りSだ、コイツ


なんか冷てぇもん。
俺もSなんだよ、一応。多分ね。


俺は銀時はMだと思ってたよ。
ホラ沖田に苛められてたし…ね?


ね?って誰に言ってんだよ!!


って何一人ノリ突っ込みしてんだバッキャロー!!!


銀「ホント大丈夫かお前?」


俺が自分の世界に入り込む度にツッコミしてくれてありがとう。


でもできれば、信じてほしい。
信じろなんて言えないけどさ。
簡単にはいかないけどさ。


『だからホントに未来から来たんだって・・・』


そうだ、証拠!証拠だ!!
え〜っと・・・

此処になくて未来にあるもの・・・。
ってそんなになくね?


あ、あった!


『今俺が着てる服!!
こんな素材のこんな服この時代にあるか?』

どうか、無いと言え!!無いって!!


銀「確かにねェな…」

『だろ?』


っしゃぁ!!
よし、よし。此処から持ち込め!!
信じさせろ俺!!



『だから信じろよ…』


潤めを頑張ってみる。

が、だめだった。
俺、生まれてこの方潤めとかやった事ないから。


つーか、どうやってやんの?




暫く目をパチパチさせていると、銀時が頭を掻いて俺に言った。


銀「・・・分かった。信じるわ」


ま、マジでか。
本当に・・・信じてくれるんだ!



『わぁ!!銀時最高!!』

言ったと同時に抱きついた。

銀時は苦しんでうめき声を上げる。

銀「ぐっ…ぐるじぃ゛!!!」


女に抱きつかれてんだからさ、
もっと照れてくれなきゃつまんねーの。



暫く抱きついて、
そんで飽きたら離れると今まで一度も考えなかった事を聞かれた。


銀「ところでさ、お前未来からきたんだろ?



家あんの?」





あ・・・。






一生の不覚です。



 


どうしようどうしようどうしよう・・・。

本当にぜんぜん考えてなかった。

頼みの綱で銀時に目をやる。
万事屋だろ、アンタ。
どっかいい物件探してくれ!


目が合う。
そして口が開いた。

銀「だろうと思ったよ…」


頭をボリボリ掻きながら、
仕方ねぇなと呟いた。





銀「ここに住むか?」



ここ…って…万事屋に?

口がポカーンとする。
頭が真っ白だった。


ただただ、俺は銀時の顔を見ていた。


『・・・いいの?』



やっと言えたその言葉。
どれくらい時間が経っただろう?






銀「そう言ったろ」


ふわりと笑う貴方の笑顔が


春の太陽の光の様に見えた。







『ありがとう銀時!!!』






俺は嬉しくて嬉しくて再び銀時に抱きついた。



先ほどよりも強く強く。

酷い声が聞こえたけれどそんなの耳に入ってこなかった。






それから離したのは



窒息死寸前だった。



 
〜後書き〜
2話編集終わり!!
バカ好きだな、俺。そんで銀さん好きです。
そいやぁ銀さんってSだよね?
でも沖田とつるむと微妙にMに見えたりNに見えたりします。