出会いは大切なり
あ゛〜
あ゛づい゛〜
ども!でェす!!
銀魂大好きな痛いけな少女っす!
今暑くて死にそうです
そんで祭りの後ポッキンアイス買って・・・
食いながらバイクで走ってた…
はずだよね?
そう
走ってた
・・・・・・んだよね?
『ここ何処だよぉぉおお!!!!』
そこは見知らぬ街。
すぐにブレーキをかけたけど、
見渡す限り俺の知ってる建物はない。
なんか宇宙人が服着て歩いてるし
空には宇宙船があるし
発達した町並み…
バイクに跨ったまま周りを見渡し気づいた。
見知らぬ街じゃない・・・。
どこかで見たことある。
俺はバイクから降りて再び見渡した。
今の俺はキョロキョロと挙動不審だ。
でもそんな事知ったこっちゃない。
本気で迷ったよ。
つーか俺迷子?迷子なの?
ちょ、どうすればいいの?
知らないとこで俺これからどうしたらいいの!?
その時俺は気づいてなかった。
沢山の人が俺の事を見てるって事に。
道行く人、すれ違う人が俺を見ている。
その事に暫くしてやっと気づいた。
ちょいまち…
なんか見られてるんですけど!!
なんかさっき叫んでから超見られてるよ?
なんか痛い子みたく見られてるよ?
俺は痛い子じゃなーーーーい!!
ただの腐女子じゃぁァアボケェ
否、腐女子の時点で痛い子ですね。
はい、分かってます。
分かってますとも。
分かってるつもりですが、何か?
「ちょっと…アナタ大丈夫?」
自分の中で暴走していると、
知らないおばちゃんが話し掛けてきた。
見た感じ、40代後半というとこだろう。
いかにも俺に対して怪訝な目をしている。
「いい大人が何をしているの?
さっきから叫んだと思ったらいきなり大きな独り言言って・・・」
いやいや、俺まだ未成年だから。
つかまだ17歳だからさ。
殆ど聞こえてないであろう声で言うと
おばちゃんはそう、と一言言って黙った。
だけど目は未だに俺の顔を見たまま離さない。
俺は何かを忘れている。
何か・・・。
アレ?ちょっとまて。
・・・・・・。
口に出してました?
頭の中で自問する。
頭の中でしているわけだから誰も答えてはくれないが・・・
「出してました」
え?この人エスパー?
プライバシーの侵害だわ!
お嫁にいけない!!
・・・否待てよ?
もうほとんど男だからいけないじゃん!!
と冷静になって考えてみる。
うん。落ち着け。エスパーじゃないしね。
普通ありえないよね。
大丈夫、大丈夫だ俺。
お前は普通の人間だ。
目の前のおばちゃんも普通の人間だ。
「否、エスパーではないわよ!
しかもプライバシーの侵害って…」
なんでまた読まれてんのぉぉおお!?
うわわわわ!!
え、何で!?何で!?何でぇぇえええ!!!
俺の心は見透かされてる!?
そ、そんなんじゃ俺のハートは掴めねーぜ!!
「痛い子ね」
アレ?もしかして・・・
ま、また声とか出しちゃってたり・・・?
「はい」
オゥマイガァァアアアア!!!
一人頭を抱えてしゃがみこむ。
その間におばちゃんがもうやってらんないわみたく去っていった。
俺・・・本当に・・・
ヤバくないか?
第一訓 出会いは大切なり
いきなり俺何処かに飛ばされるし。
道行く人に変な目で見られるし。
てか、何処かに飛ばされたのかな?
え、何?ワープ?ワープなのか?
いやいや、宇宙人はこの世界にいませんよ。
てか、アレか?
異世界とやらに来ちゃったとか・・・?
ホント…ここどこだァァアアアア!!!
バイクを押しながらため息をつく。
空は俺の心と違ってやけに輝いてる。
っと・・・
…今度は声に出してねーな?
「ないでさァ」
は?
今返事が来た?
「ええ」
また!?
ありえない事が起こった。
頭で考えた言葉に返事がきた。
焦る俺。
そして同時にあたりを見渡した。
だけど誰もいない。
幻聴・・・なのか?
冷や汗をかきつつゆっくりと後ろを向く。
「幻聴じゃないでさァ」
『ぎゃぁぁああああああああ!!!!』
いきなり目の前に現れた男。
振り向いた目の前に立っていた。
近い近い近い!
いつ近づいた!?いつからいた!?
さっきいなかったよね!?
じっとその男を見てみる。
透き通る様な栗色の髪に同じ色に赤みがかかった瞳。
整った顔立ちにすらっとしたスタイル。
美形・・・。
俺はその男を食い入るように見ていた。
ヤバイ…見とれちまったぜ☆
「ジロジロ見ねェでくだせェ」
じっと見ているとその男は俺に向かって嫌そうな顔をして言った。
この声や口調も・・・
何処かで聞いたことがある。
まいいや。
考えないようにしよう。
ところで、俺は気になる事があった。
『また声出してました?』
そう、コレだよ。コレ。
さっきから俺、この癖で人に変な目で見られてたんだから。
「また?出してませんぜ」
良かった。
今度は出してねーみたいだ。
安堵のため息を吐き出す。
そして大きく息を吸った。
そして気づく。
『アレ?・・・じゃあ、なんで?』
俺の言葉に返事ができるわけ!?
その問いに男――多分見た目からして青年だろう――は静かに答えた。
「心の叫びが・・・聞こえたんでさァ」
はい、そうですか。
・・・・・・・・・。
これがホントのエスパーー!!!!?
落ち着け落ち着け俺!!
ヤバイ、落ち着かない!!
本当のエスパーに会っちゃった!
本当のエスパーに会っちゃった!
何コレ!俺どうしたらいいの!?
とりあえず握手!?握手か!?
ナイストゥーミートゥユーか!?
サイン貰えるかな!?
「違いまさァ、つか落ち着け」
ありがとう。
・・・じゃねぇって!!
アナタおもいっくそエスパーじゃん!
どうすんの、俺!!
どうしたらいいの!?
「しつこいですぜ」
心の中で会話できてるって凄くない?
なんか俺が凄いみたいに思えてきたんだけど!!
でもちょっと待ってね。
プライバシーの侵害だよね、コレ!
パピー
マミー
お嫁にいけない!!
・・・・・・。
自分で考えてしつこいな…。
ハァ、と大きなため息をつく。
チラっと男の顔を見てみた。
うん。やっぱりきれいな顔だな。
「何やってんでさァ」
俺の視線に気がついたのか、男が俺に問う。
どうやら今は俺の心が読めてないらしい。
何で?
「しょっちゅう読むわけないでさァプライバシーの侵害ですぜ」
否、もう侵害っす。
最後の俺の心の発言にしっかり答えてんじゃん。
何?何その不満そうな顔。
何?俺が悪いわけ?
再びじっと顔を見る。
目が合ったのでにっこりと笑っておいた。
・・・コイツなんか疲れるんだよな
あ、お前。
お前が疲れるよ、とか言うな。
傷つくから。
Sだからこそ傷つくから。
あー、もうっ!!
『・・・・・・モウ言ッテモイイ?』
もうこの人の相手してたら俺が壊れる!!
ここは逃げるが勝ちだ!
オイ今度は、もう壊れてるだろ。とか言わない!!
二度目だけど!傷つくから!
「・・・なんでカタコト?」
『き、君二付キ合イキレナイカラ。
サヨウナラ』
ピューン、とはいかにもアニメ〜っという感じに去っていった。
その男が、
銀魂キャラとも知らずに・・・。
ただただこの場から離れたくて
バイクは相当重いものだと言うのに
気にも留めず素早い動きで
沖田総悟という名の男の視界から
消えた。
「何でさァあいつ・・・。
バイクなのにピューン?
ククっ・・・おもしろい奴でさァ」
去る男の後ろ姿を見ながら
沖田はつぶやいた。
あの男・・・何者でィ?
***
はァ…はァ…
走ったら息が上がった。
マジで、死ぬ。
コレでぴんぴんしてたらすごいよな。
だってバイク担いでたんだもの。
死ぬ程走ったんだもの。
ぐっ…ぐるじぃ〜〜〜〜〜!!!!!
アレ?何で息が切れるんだろう?
あ、そっかバイク担いでたからだよね。
あ?さっきも言った?
知るか。
俺の頭の中ごちゃごちゃしてんの。
無い脳みそ使いまくってホント死にそうなの。
俺…ここで死ぬのね?
サヨナラ皆さん
最後にみんなに会いたかっ――
言い終える前に鈍い大きな音が響いた。
俺の耳はしっかりと捕らえた。
自身の体に鋭い痛みを感じたから。
体に硬いものが当たったから。
同時に・・・
シルバーの乗り物が視界に入ったから。
はい。
そうです。
皆さんもお分かりでしょう。
はねられました・・・てへ★
って…
てへ★じゃねェエ!!!
吹っ飛んだ俺はそのまま地面で顔面を擦った。
俺のバイクは俺よりも遠くに飛ばされて数秒遅れて大きな音がした。
意識も遠のいて俺を撥ねた人間の顔を見ておきたかったけど
その前に俺の記憶は
途絶えた。
倒れたに近づく人影。
どうやらを撥ねた人物の様だ。
「オイオイ・・・またなんかひいちまったよ・・・。
俺って才能あり?なんて・・・
・・・・・・アレ?
・・・アレぇぇえええ!!?」
撥ねたのが人だと気づかなかったのか、口調からして男がを目に留めて先ほどまで鼻の穴を掘っていた指を奥に突き刺す。
開いたままの口に鼻血が垂れているのにも気づかない男。
「何コレ?・・・人?
…………人ォォォオオオオ!!?」
「お、オイ・・・大丈夫か!?大丈夫か!?
大丈夫と言ってくれ!大丈夫だって俺に安心させてくれぇ!!」
無理言うな。
というか、まず落ち着け。
駆け寄って俺の体を揺らすが俺は目を覚まさない。
まァ当たり前に気絶してんだよ。
モチ
大量出血して♪
って笑い事じゃねぇんだけど!!
俺瀕死状態なんですけど!!
誰か君に薬草かHP回復魔法かけてぇぇええ!!!
「ゲェェェェエエエエエエエエ!!!!!!」
男は動かない俺を見て叫んだ。
「ひ、ひとまず家に連れて行こう…」
とりあえず見知らぬ男を原付バイクに縄でぐるぐるに括り付ける。
の顔を見て撥ねた男は思う。
なんちゅー怖ぇ顔してんだ、こいつ。
男はが女とは思えないだろう。
今のの顔は・・・・・・
アレね!なんか…なんていうか…もういいや
ちゃんといつかは顔が戻るんだからさ!
軽く流しておく。
それがの短所でもあり、
長所だから。