プロローグ
プロローグ
沙「!!起きてェ」
『んあ?』
誰かが俺を起こす。
揺さぶられる体に、耳に通る澄んだ声。
俺は
俺なんていってるけど女…なんだよね…
いつも兄ちゃんと一緒だったから口調やら性格やら
男っぽくなっちまった…
俺だって女の子になりたかったっ!!!
『なんだ、沙希か・・・』
沙「なんだ・・・じゃない!!起こしにきてやったの!!」
『別に頼んでねーし』
沙「頼みごとがあってさ」
『頼みごと?』
沙「今日の夜神社でお祭りあるじゃない?一緒に行こうよ!!」
『いいけど・・・・・・そんだけか?』
沙「さすが、勘鋭いね!コレ着てほしいんだ!!」
それは・・・
男モンの浴衣
おっ…男モンンンンンンンン!!?
この男らしい女をもっともっと男にしろと?
沙「、お願い!コレ着て!!そんで私の彼氏になりすまして!!」
『なっ!?何でェ!?』
沙「それが・・・。私の友達に彼氏ができてさ
自慢されて、私にもいるって言っちゃったんだよねぇ」
沙希は幼馴染だ。
小さい頃から一緒に育って一緒に学んで一緒に遊んだ。
だから、ちょくちょく沙希は俺に頼み事を持ってくる。
『はぁ・・・わぁったよ。これっきりな』
沙「やった!!ありがとう!鳥居の前で9時ね!!」
そう言って、沙希は部屋から出て行った。
俺なんかが沙希の彼氏のふりしていいのか!?
沙希は結構かわいいから
俺なんかが…
ってか
違う学校の奴には俺が男だって思われるじゃんかよ
・・・・・・余計うつになる・・・
いいもんね!
人をいぢめて生きがい作るもんね!
だって俺・・・
Sだもんね!!
***
それから時間は経ち、夜になった。
辺りが暗くなって、電柱の灯が灯される。
こんなもんか・・・。
鏡の中の自分を見ながら呟く。
俺は朝渡された浴衣をきて、ワックスをつけて
まぁとにかくより男っぽくなるようにと気をつけた。
そして自分の黒いバイクに乗る。
まあ俺はまだ17歳だから無免許運転だけど・・・・・・俺は気にしねぇ。
バイク、久しぶりに乗るな・・・
エンジンをかけると、胸が高鳴った。
久しぶりだと、風の爽快感が余計増す。
俺は嬉しくて顔が綻んだ気がした。
きゃっほぉおおい!!
俺は風になる!
このまま風になって空高く上がり、いざ、天の楽園へ!!
そうこうしている間に例の神社についた。
階段の上から、人々の騒ぎ楽しむ声が聞こえる。
バイクを止め、跨いだままヘルメを取る俺。
その様子を誰かに見られていた。そんな気がした。
「あの人かっこいいv」
「ホントかっこいいvv」
ヘルメットを取った瞬間、回りがざわめいた。。
何故か視線を感じる。
・・・・・・俺、そんなに変だったか!?
ちょっ、待て待て!恥ずかしいだろそれ!!
ヤベっ俺ってバイク似合わない男bPなのかっ!?
否、この外見で頭の中では腐女子ってことの時点で恥ずかしいのか!?
好奇の眼差しですかコノヤロー!!
「ちょっと声かけてみようよw」
「ぇ?でも…」
女の人が二人程俺に近づいてくる。
何のようだろうか?
まさか此処駐車禁止区域!?
否でも他にも置いてあるし・・・。
「あの、お兄さん!!」
『・・・へ?・・・俺?』
一瞬戸惑って周りを見渡した。
聞き間違えか、もしくは他の人にかけられた言葉なのか・・・・・・。
だが、俺しかそこにいない。
ちょっと待て。
明らかに俺のほうが年下だろ・・・υ
大方20か?
「あのー・・・一緒に廻りませんか?」
少々照れながら、俺に上目遣いで言ってくる女性。
ぇえ!?逆ナン!?
嘘!?俺も女だよ!?
俺女だから、一応普通のナンパなんかな?
でもこの人にとっては逆ナン・・・だよなぁ・・・。
と、とりあえず、丁寧に断らねぇと・・・。
『あのすみません。俺、ツレがいるんです』
俺がそう告げると、女性は残念そうな表情を浮かべた。
「そ、そーですか・・・。ごめんなさい」
『じゃあ、あの・・・待たせてるんで』
失礼だが、相手に背を向けて階段を上り始めた。
逃げるように小走りで階段を上る。
だんだん小さくなっていく先ほどの二人の視線は俺の後ろ姿を追っていた。
あ〜びっくりした。
俺、意外とモテんのな(笑)
***
その時、待ち合わせ場所である鳥居では、沙希が一人ポツンと待っていた。
沙(まだかな・・・・・・?)
鳥居に凭れてを待つ沙希。
少々不安になり始める彼女に近づくいくつかの影が・・・。
「ねぇ君、俺達と遊ばない?」
沙希の腕を掴み、今にも連れて行こうとしている。
不安と焦りが湧き上がる沙希。
沙(、早く来てっ・・・)
無理矢理引っ張られる腕。
振り払おうとしても、無駄だ・・・。
声を上げようにも、声が出ない。
っ!!
『沙希、わりぃ、遅れた。・・・っ!?』
やっと着いた鳥居。
だがそこには男達に無理やり引っ張られる幼馴染の姿が。
『沙希ッ!!』
「っ・・・」
男の一人を思いっきり殴り飛ばす。
大きな音を立てて男は吹っ飛んで行った。
沙「!」
少し震えた声が、俺の耳に入る。
俺の体から、ふつふつと怒りが沸いてきた。
『オメーら・・・・・・沙希に何してんだよっ!!』
沙希と男の間に素早く入る。
男が俺を舐めた様な目で見てきた。
「お前、そいつの彼氏かぁ?
そんな軟弱な体しちゃって・・・・・・痛い目見るよ、お兄さんw」
「おらぁあぁあああああ!!」
一斉に向かってくる男達。
ただの量だけの馬鹿共が。
『俺を・・・なめんじゃねェェエエ!!!』
バキッ
ボキッ
ゴキッ
あっという間だった。
周りにいた男どもは皆、一斉に倒れた。
「「かっこぃぃ///」」
沙希はどこかの女の人がそう呟くのを聞いた。
***
とりあえず、ナンパ野郎は片付けた・・・だが・・・。
『わりぃ、沙希。俺やっぱ帰るわ。なんか気分じゃねーし。
そのダチには帰ったっていっといてくれ。ケー番教えてくれたら俺から謝っとくからよ』
両手を合わせ、軽く頭を下げる。
俺が早く来なかったせいで沙希が怖い目を見たという、罪悪感と
この場から早く離れたいという焦燥感から出た言葉だった。
沙「・・・」
『じゃーな』
沙希を置いて、俺は素早くバイクのところまで戻ってきた。
戻ってきてから気づく。また同じ目に遭わせてしまうかもしれないと。
だが、今更戻れない。
俺はバイクに飛び乗り、ヘルメットを乱暴に被った。
もう人生に疲れたな、俺・・・。
世の中あんなやつばかりだ
そうだ…銀魂の世界に行きてーな
ほら、夢小説みたいによ
そんな風に夢を見ながら、俺はひたすらバイクを走らせる。
『あちぃ〜・・・…』
流石真夏。暑くてたまらない。
肌で感じる風が、妙に温かかった。
ポッキンアイスでも買ってくか
何処か適当な店を見つけ、其処に入る。
店の中にはオバチャンが居て、
俺はポッキンアイスを一本取ると、それをレジに持ってった。
「まいどぉ」
店から出るとそれを早速折って銜える。
口の中が急に冷たくなり、甘さが俺に癒しを与えた。
『くぅ〜っ、美味い!なんかホントに行けそうな気がしてきたっ』
速度を上げて、風を感じる。
先ほどよりも呼吸は少し苦しいが、風が気持ちい。
『風きもちーなぁwなんか女に戻りてぇ!』
俺が叫んだ時だ。
それは一瞬の出来事だった。
ピカッ
『なんだ!?』
凄く眩い光が俺の前に現れた。
NEXT
〜後書き〜
連載スタートですww