危機的状況に陥ると呂律が回らなくなるから気をつけろ
沖「後、確かに結構前にそんな事言ってやしたねぃ
」
奴は確かにそう言った。
俺に向かって・・・ではなく
と・・・。
第九訓 危機的状況に陥ると呂律が回らなくなるから気をつけろ
無言で包帯でぐるぐるになった腕を見つめる。
ズキズキと痛む腕に、ヒリヒリとする体中にある擦り傷と打撲でできた傷跡。
体中がズタズタで簡単には動けない。
でも、今はそんな事を考えている暇はない。
総悟の事だって今は考えている暇はない。
利き腕は使えない。
それでも、行くしかねぇよな・・・。
品岡建設に・・・・・・。
***
『俺の必殺技・・・・・・ハゲテルガァ!!』
――ピッ――
素早く入射角と半射角を計算し、俺はリモコンを定め、押した。
――プツッ…――
その瞬間テレビがついた。
だがリモコンはテレビには向いていない。
・・・・・・・・・・・・。
リモコンの先は、
とある光り物に向けられていた。
『フッ……決まった…』
光り物と表現されたそれは、神楽のオヤジだった。
「何処で使うんだそんな必殺技っ!!」
スパンッと爽快感の感じられる音がしたが、それ以上に頭に衝撃と痛みが来た。
『あっ!』
神楽のオヤジの後ろを指差し、それにつられて振り向くオヤジ。
素早くリモコンを操作し、再び光り物に向ける。
―ピッ・・・―
「だから何でだぁぁあっ!!」
今度は先ほどよりも大きな音がした。
頭の痛みもより痛い。
『何でって・・・エコですよ、エコ。ほら、電気の無駄遣いはいけない。』
ふっと笑いかける俺。
今の俺はとても清清しかった。
ああ、快感だわ。
「その誇らしげで、決まった時のちょっとしたにやけ止めろやっ!!」
拳を握り締め、わなわなと震えたたせている。
俺とグラ父のやり取りを見守る万事屋はただただぼーっと座っていた。
『いやー地球のために俺良い事したなーって・・・。お母様、お父様。地球を守ったよ、俺っ』
手を組み、天を見上げ、跪く。
「守るなら俺のガラスのハート守れやっ!!」
もう一発、これで三発目の拳が降ってきた。
あ、タンコブできたかも、これ。
なんか膨れ上がってんだけど、これ。
『酷い・・・』
目に涙を薄らと溜めながら、非難の声を上げた。
懐かしい記憶。
あれは確か、神楽のオヤジが江戸にやってきた時の記憶だ。
初対面だと言うのに、俺はやらかして三発殴られたのを覚えている。
殴られた後、『女に手をあげるなんてサイテーだ、このオヤジ・・・』と呟いたら
「お前なんて女に見えねー!!」と言われ、ヅラを剥ぎ取ってやったな・・・。
その後傘で攻撃されそうになってマジ焦ったわ・・・。
それがなぜ頭に過ぎったのか分からない。
思う様に動かない体を必死に動かして、品岡建設まで急ぐ。
屯所を出る前に刀を持ってきた。
兄に渡した俺の愛刀。
いや、そのはずだったんだけど、どうやら総悟に渡されたらしい。
この刀は、総悟の部屋にあった。
俺と相性の合わない適当な刀じゃだめだ。
だから俺は見つかるまで必死に探した。
そして見つけたんだ。
二刀の、俺の愛刀。
今度は負けねぇ。
腕が使えなくても無理やり戦ってやるさ。
なんせ俺は、真選組の一員なんだから。
***
「・・・?」
が屯所を出てすぐ、沖田総悟はやってきた。
蛻の殻となったの部屋。
まだ生暖かい布団を視界に入れ、一瞬で感づく。
沖「の奴・・・・・・」
こりゃさっきの敵が関係あるな。
だがの行き先は分からない。
あいつは何も残さずいなくなった。
ったく・・・いつも世話の焼ける奴でぃ・・・。
その時、はっと何かを思い出した。
沖「刀っ!!」
走って自室に向かう。
どたどたと鈍く大きい音を立てて廊下を走る。
廊下の軋んだ音が足音を追ってやってきた。
の部屋は俺の隣だが、の部屋は俺の部屋から遠い。
俺の予想が正しければ、預かっていた二刀の刀は無くなっているはず。
自室に着き、襖を開ける。
やはり、そこには刀は無かった。
あいつ・・・あの体で無理しやがってっ
***
聳え立つ大きなビル。
俺が初めて来た、品岡建設の本社だ。
確か、前回は総悟がここに来て事情聴取をしたはず。
まあ、あいつがちゃんとした事情聴取をするわけもなく・・・
適当に趣味の話を聞いて帰ってきたとか・・・。
荒れた呼吸をゆっくりと正していきつつ、これまた大きな玄関に入っていく。
見張り番の目が俺を一瞬捉えた。
内心ドキッとするも、俺に怪しい要素がないと判断したのか目はすぐ逸らされる。
俺は何も無いように振舞いながら受付まで向かった。
『あのーすみませーん』
腑抜けた声とは裏腹に、勢いよくカウンターに手をついて身を少し乗り出す。
受付の美人なお姉さんが一歩退いた。
『この猫を品岡建設さんが預かっているとお聞きしたんですが・・・』
「あの、見えませんが」
写真を額にくっつけている腕を無理やり剥がされる俺。
『いやー・・・もしかしたら近視の方かと思って・・・』
「見えるわけねーだろっ!!!」
受付嬢とは思えない顔で、怒鳴る。
あちゃー・・・やっちゃった、と前回総悟がやっていた事をマネをした。
えと、あいつなんて言ってたっけ?
あーもう思いつかねぇ・・・確か顔だろ・・・?
『紛らわしい顔してんじゃねーよ』
「顔関係ねーよっ!!」
あー・・・またやっちまった・・・。
俺もうちょっと頭良くなんねーとなぁ・・・。
一体何人もの人を怒らせてんだろ、俺。
まあ、楽しいからいいけど。
――ドォオーンッッ――
『な、何だっ!?』
爆発音がビル中に響き渡り、びくっと体を揺らす。
途端に焦げ臭いにおいが辺りに立ち込める。
音のした方角は多分・・・・・・。
「社長っ!!」
品岡建設の社長室の方だ。
真選組として爆発処理をしなければならない。
品岡建設が良い者であれ悪い者であれ関係ない。
例え誰か別の存在によって起きた爆発であっても、
今ここで爆発が起きたという事は俺が対処しなければならないのだ。
素早く方向転換し、階段の方へ。
「あ、ちょっとあなた!!」
俺を呼び止める声を無視し、階段を駆け上がった。
エレベーターは使えない。
この体だ。ちとどころか、かなりキツいが仕方ねーだろ。
何十階でも上らねぇとっ。
俺が階段を上り初めて10分が過ぎた。
途中から体がしんどくなり、小走りに変わる。
ったく、このビル何階まであんだよっ。
ふと階段の壁を見ると、30Fと書いてあるのが見えた。
へー・・・結構行ったんじゃね?
に、人間業じゃねぇよ。
どこに30階も階段駆け足で上る奴がいるよ。
超人技だよ、これ・・・。
その時、ふらっと倒れこんだ。。
壁に寄りかかり、ゼーハーと死にそうな位の俺。
目の前にはこれ以上段差のない床。
『ぐっ・・・ハァッ・ハァッ・・つ、ついたみてー・・だな・・・』
刀を支えにして、社長室の大きな扉がある場所まで歩く。
だが、社長室を目の前にして立ち止まった。
さっきの爆発で吹っ飛んだ扉。
そこから見える空間の中には・・・
「っ・・・ほらほら、さっさと観念して・・・痛っー・・・降参、しなさいよっ」
横っ腹を怪我をした銀時と、奴を支える二人。
いかにも、今朝別かれた万事屋だった。
***
『お前らっ!!』
俺が叫んで近寄ると、声を耳にした神楽と新八が驚いて振り向いた。
神「!!」
新「さんっ!!」
銀時はそのまま、ただじーっと敵――多分品岡建設の社長だろう――を見つめている。
声だけが、俺に向かって飛んできた。
銀「そろそろ来る頃だと思ってたぜ、」
―チリンッ―――・・・鈴の音が鳴った。
足元に感じる、ふわふわとした感触。
驚いて下を向くと、まさしくそこには俺の探していたヒロミちゃんがいた。
『な、何で!?』
ヒロミちゃんを抱きかかえ、銀時に問う。
何故3人がいるのか。
何故銀時は怪我しているのか。
何故、何故、何故・・・。
銀「誘拐された息子の居場所を探してたらここにたどり着いてな。
どうやら、そのガキぁ金になりそうな猫と一緒に遊んでたんだと。
で、猫を誘拐するのをガキに見られて、ついでに子供も誘拐したらしいわ」
痛みが凄いだろうに、声色ひとつ変えず優しい声で説明してくれる銀時。
腹からは数滴の赤い雫がポタポタと落ちてゆく。
『で、・・・その子供は?』
銀「母親に連れて帰らせた」
良かった、とほっとする。
だが同時に不安が心に宿った。
『まさか、逃がす為に囮になって怪我したとかじゃないだろうな?』
神「そのまさかアル!」
銀「馬鹿、どうでもいいこと言ってんじゃねーよ」
傷口を押さえていない方の手で神楽を殴る。
そういう心遣いが凄いと思った。
血のべっとりついた手では殴らないという心遣いが。
銀「おい。お前今から暴れんだろ?」
『おう』
必死に持ってきた刀を腰から抜き、両腕で構える。
その時右腕に鋭い激痛が走り、手に入れた力が怯んだ。
だが素早く構えなおし、何も無かった様に振舞う。
大丈夫、ばれてない。
そう思ったのに・・・
銀「怪我してんだから無理すんじゃねーぞ。俺が援護してやっから」
『なっ!?何で分かったんだよ!?』
俺の問いを無視し、銀時は木刀を再び構える。
目は敵の方を向いていて、一瞬俺には、奴が白夜叉に見えた。
だが、その目が俺に向いた時、優しい目をしていた。
銀「銀さんに分からない物などぬぁーい!!」
頼れる万事屋銀さんの顔だ。
『んじゃ、行きますか!』
一歩前に出た時だった、品岡建設の社長が慌てた顔で叫んだ。
「お、おおいお主これが見えてないのかっ!!!」
赤いボタンのついた、手のひらサイズのリモコン型スイッチだった。
社長はそれを両手で強く握っている。
社長の周りには倒れた男たちが数人。多分三人が倒したんだろう。
よく見るとコイツら、俺を人質に取ろうとした奴らだ。
って今はそんな事どうでもいい。
『そのスイッチがなんだってんだ?爆弾でもあるってのか??』
フッとあざ笑うと、一歩一歩前に歩む。
それと同時に一歩一歩、社長は退く。
社長の顔は顔は引きつっているが、笑っていた。
「ふ、ふははっ。お主目が悪いようだなっ」
『あん。んだこら。こちとら視力には自信あんじゃボケ。
昔っから覗きに利用してたんだコルァ』
新「お前それでも警察かよ!?つかお前本当に女!?」
『流石ツッコミの新八、とだけ言っておこう』
新「うれしくないわっ!!」
「おい、無視すんじゃねぇっ!!!」
半ば泣きそうになっている品岡さん。
社長はいいや、もう。飽きた。
シナティでいいんじゃね?ほら、最近流行りの
新「それ一部の人だけだからっ!!」
「いいから!シナティでいいから!早くこっち向けぶぁかぁっ!!」
シナティが指差す方向には、大きくて黒い電子時計とたくさんの配線。
あー・・・いかにも爆弾って感じの・・・。
『・・・ベタな・・・』
神「待つネ、。それ本物アル!」
新「大きさから言うと、さっきの奴の何倍もあるんでこのビルは余裕で吹っ飛びますよ!!」
『え、マジ・・・?υ』
必死に説得してくる二人の姿を見て、こりゃヤバイぞと焦りだす。
少しの間があり、俺の首筋から冷や汗が伝った。
『ま、まあ?な、なんとかなるでしょ、お兄さん』
ギギギ、と油の切れたロボットが動く様に、銀時に首を向ける俺。
すると銀時はすんなりと俺の方に向き。
銀「まー・・・流石に俺主人公だから死なないでしょ、とは違うから」
『おまっ一人だけ助かろうってか!!!』
銀「助かろうとかじゃなくて、助かっちゃうモンなんだよ。いやー大変だな、サブキャラは」
『俺の場合サブキャラでもねーんだよっ!!』
新「お前らいい加減設定的な話すんの止めろコルァっ!!」
新八のツッコミに勢いがいつもよりある。
「止めろコルァっ!!」の時に銀時はアッパーカットを食らい、吹っ飛んで行った。
だが、銀時のうめき声と同時に、
何か聞いちゃいけない様な音がした・・・。
――バシッ・・・――・・・ピッ・・・―――・・・…
何か二つの音がした・・・気がした。
何かこう・・・何かが何かに当たって、リモコンが押されたっていうか・・・。
『ちょちょちょちょっと待てやぁあああ!!!!!』
新「グフゥッッ!!何で僕ぅうう!!?」
咄嗟に新八に左ストレートを食らわし、シナティの方を見る。
そこには伸びた銀時と、潰されたシナティ。
シナティの手には、赤いボタンが食い込んだリモコン型スイッチがあった。
『や、やべぇっ!!やべぇって!!!!!』
俺が混乱していると、神楽と新八も慌てふためき出した。
ところが、それと真ギャクに・・・
シナティこと品岡なんとかが銀時を退け、ゆらりと立ち上がり俺達の方へ向いた。
「もう遅い・・・爆弾を知られたんだ。俺の人生は終わった。
お前らのせいで、俺は死ぬ。後少しでここは爆発するんだ、お前らも道連れにしてなっ」
急に態度の変わった男。
死ぬ事を覚悟すると、こんなにも変わってしまうのか。
銀時は未だ伸びたまま。
大事な時に使えねぇっ!!
「あの爆弾を止めるにはこの赤外線式リモコンを使うしかないのだ」
品岡は懐から別のリモコンを取り出すと不気味に笑った。
自慢の視力を使って爆弾のカウントダウンを見る。
赤い4桁の数字が残り少ない事を語っていた。
『もうカウントが15秒しかねぇじゃねぇかっ!!』
「この赤外線は特殊だが届く距離は15,6mと限られている・・・・・・。
ここからあそこまでは60m・・・。今これを奪ったとしてもたった7秒じゃ何もできるまい。ふははははっ!!」
品岡は視力が悪いのか、自分の腕時計を見つめ、残り少ないカウントを告げる。
だが俺はおっさんの言葉が終わる前には叩き付ける様にリモコンを奪い、駆け出していた。
間に合わないかもしれない。
ても、何もできないまま終わりたくない。
「っ!?」
後ろから声が追いかけてきた。
走りつつも周りを確認する。
必至に走れば間に合う!
大丈夫。間に合う。
たった5秒でこれだけ考えながら走った。
『まさか本気で使うとは思って無かったよ』
カウントがちゃくちゃくと少なくなっていく。
俺の死のカウントダウンが。
でも、俺は死ぬ気はねぇ。
死ぬかっつーのっ!!!
『俺の必殺技っ・・・ハゲテルガァア!!』
必至に走りながら、心の底から叫び、腕を思いっきり伸ばした。
『届けぇっ!!!』
ここからじゃ爆弾に赤外線は届かない。
それならば俺は、爆弾から少しずらした場所を狙う!
狙った場所は俺と爆弾との丁度中間地点に存在する柱だった。
――ピッ――・・・
高く短い音が鳴った。
シーンと静まり返るボロボロの社長室。
少しの間が、とても長く感じた。
゛爆弾ヲ解除シマシタ゛
カタコトの機械の音声が室内に響き渡る。
『やっ・・・・・・た・・・?』
途端に足腰にどっと押し寄せる疲れ。
ガクッと足を折れば、床に膝立ちになり、流れるように座り込んだ。
再び訪れる一瞬の静寂。
だが次の瞬間、辺りは歓声に包まれていた。
銀「やったな!!!」
神「、サイコーアルっ!!」
新「流石さんです!!」
三人にタックルされ、そのまま神楽に抱きしめられる。
銀時には頭をくしゃくしゃにされ、
新八は笑顔で何度も何度も礼を言われた。
「そ、んな・・・」
品岡は膝を落とし、両手を床につけた。
と、同時にドタドタと大勢の足音が・・・。
「爆弾所持により、品岡、お前を逮捕する」
今朝も聞いた低い声。
壊れた扉のあった場所は、黒色で埋まっていた。
***
真選組は、爆発音を耳にした近所の人からの通報によりやってきたらしい。
真選組に連れていかれる品岡の小さな背中を見送り、
万事屋を背にし、俺は真選組の前に立っている。
てっきり俺は、
"、こんなところにいたのか。"
と言われると思ってた。
でも、違った。
土「よお。久しぶりだなぁ」
一番先頭にいた土方さんが、俺に向かってヒクヒクと引きつった笑顔を見せる。
というか、笑ってないね、これ。というかこれ、怒ってるよね。
『ひ、土方さん・・・』
先ほどよりも激しく噴出す汗。
俺の周りの床をどんどん汗で浸していく。
銀「うわっ凄い汗だよ、ちゃん」
『ちょーちょーちょーっ!!』
バレるだろっって・・・あれ?さっきって言われたよね?
え、ちょっと待てよ。俺さ、俺まだ女装してるよね?
ってバレる様な事、土方さんの前では何もしてないよね?
土「おかしいと思ってたんだよな、を見た時」
タバコを銜え、大きく吸うと吐き出した。
俺はその副流煙をもろにくらい、咳き込む。
沖「俺も思ってたぜぃ。土方さんと一緒ってのがムカつきやすが」
土「おい」
土方さんの後ろにいた総悟が前に出てきた。
同時に、総悟の暴言に土方さんが睨み付ける。
沖「でも・・・」
土方さんを無視し、何かを続けて言おうとする総悟。
土「ああ」
土方さんも言いたい事が同じらしく、同意。
すると、先ほどからあえて無視していた、大きな存在感を持った男が口を開く。
近「あまり考えねぇようにしてたんだよな。
もしなら自分で言ってくるまで待とうって」
ガハハっと元気のいい笑顔を見せる近藤さん。
思わず、俺まで笑顔になってきた。
『は、はは・・・。でも、それでも、
一応はだと思ってくれていたわけですよね・・・?』
爆弾を止める時に放り投げた刀を左手で一本一本拾い、腰に挿しつつ三人を見上げる。
三人は俺の言葉を聞いてなんとも言えぬ笑顔を見せていた。
沖「じゃないって言われても頷けたし、だと言われても頷けたぜぃ」
『・・・へ?』
近「人はよく変わるもんだ。その変化がある意味おもしれーだろ!
だからだとしたら、半年前から変わったんだと思うし、
じゃないならそれは確かにじゃない。当たり前の事だろ」
俺に近づき、ポンポンと肩を叩く近藤さん。
ちょ、ちょっと痛いです、近藤さん。
近「でもまあ、人は変化しても心は変わっちゃいけねぇ。
何かが変わっても、心は変わらねぇって信じてたからを待ってたんだ」
少し、視界がぼやけてきた気がする。
鼻がむずむずしてきた気がする。
胸が、苦しく、でもいっぱいになった気がする。
沖「お帰りなせぇ、」
俺、今まで何やってたんだろう。
何で俺、女装なんかしてだましてたんだろう。意味もないのに。
あ、そうか。兄貴のせいだった。
でも何ですぐにバラそうとしなかったんだろう。
ああ、そうか。
もし受け入れてくれなかったら・・・と思ったら怖かったんだ。
もし忘れられていたら・・・と思ったら怖かったんだ。
でも、
そんな心配要らなかったみてーだな。
俺は、
真選組一番隊副隊長であり、
万事屋の一員
だ。
『ただいま・・・』
俺は皆に必要とされてた。
真選組にも、万事屋にも。
俺、戻ってきて良かった。
俺の目から、暖かい何かが零れた。
あーあ。俺、また何やってんだろ。
バカにされるよ、皆の前で泣いちゃってさ。
俺、ほんっと弱ぇーんだなぁ・・・。
土「何も泣く事ねーだろ」
『泣いてねーっ』
銀「その目から出てる物は鼻水ですか?」
『ちげー。涎だ、バカ』
新「どっちもよくねーよ!」
近「ったく、汚ねーなー。ちなみに俺は耳くそだからな、ぐすっ」
『頼むからコイツと一緒にしないでくれ』
神「気持ちわりーんだよ、ゴリラ」
沖「近藤さん、それ固体でさぁ。流石に引きますぜ」
母さん、父さん。
俺、すげぇ幸せモンだよな。
マジであったけーや、ここ。
俺、前は早く二人に会いたいって思ってた。
でも今は、まだ会いたくねーわ。
ごめんな。
俺、まだまだこいつらと一緒にいてーんだ。
またいつか、当分先になるだろうけど。
それまで待っててくれよなっ!!
俺が落ち着いた後、病院に向かう万事屋とは別れ、屯所へ向かった。
いや、向かったんじゃない。
帰ったんだ、俺の家に。
最初は万事屋だけが俺の家だったけど、今はどっちも俺の家。
大切な、帰るべき家。
近藤さんが玄関を開け、続いて土方さん、総悟が入っていった。
「帰ったぞー!!」
「お帰りなさい、局長」
「副長、遅かったですね」
「ああ」
「隊長もお疲れ様です」
「おーう」
中からそんなやり取りが聞こえた。
トクトクと、胸が高ぶる。
近「おーい、。早く入ってこい」
外で躊躇していると、近藤さんが俺を呼んだ。
俺はその声を頼りに、足を動かし中に入る。
『た、ただいまっ!』
さっきよりもだいぶ大きな声で俺は言う。
ただいま、皆。
ただいま、屯所
ただいま、俺の家。
たくさんの思いを込めて。
「お帰りなさい、副隊長」
俺はその時、とても気持ちが良かった。
三人以外の隊士達も、まだ俺を家族と思ってくれてた。
お帰り、その一言がとてもうれしかった。
俺は自然とにやけてたのかもしれない。
俺の顔を見た三人がお互いの顔を見合って、同時に俺を見た。
「お帰り、」
NEXT
〜後書き〜
お久しぶりです皆さん!!見事につまらない作品になってしまいましたねυ
これでも一応がんばりました、はい。
部活が忙しすぎて更新がなかなか・・・。
ブランクが長すぎたせいか、小説の書き方がだいぶ変わった気がします。
余計に下手になった様な・・・。
あ、そうだ。後書きという事で補足をさせていただきたいと思います。
今回は戦闘シーンがありませんでしたね。
俺は怪我した後で無理やり戦うシーンも好きなんです。
でもね、どうしてもハゲテルガが書きたかったんですよ(おい
いや、どうでもいいネタだからこういうとこじゃないと目だってくれないかなーと思いまして・・・。
いや、本当申し訳ないです。
戦うって言えば、銀時と土方、神楽と沖田が喧嘩しないのも珍しいですよね(笑)
そうそう、真選組の人質とか、そういうの曖昧のままですよね。
まあ、結局何も起こる前に品岡が捕まったので何も触れなかったんですが・・・
半年前に、真選組に捕まりそうになった時、まだ証拠がなくて切り抜けられたんですが
次はやばいなと思った品岡建設が、真選組の弱みを握っちゃえば大丈夫じゃね?と思った故の行動でした。
まあ、普通に考えれば分かる、ベタな事ですねww
ちなみに、を襲った品岡の雇い人はと真選組の繋がりを知っていたわけではなく
ただ、の動きが真選組の人間と似ていたからそう思っただけです。
まあこれも、捕まっちゃったんだからどうでもいいネタですよねww
まあ、補足はこんな感じです、はい。
こんな俺の応援をしてくださった方、続きが読みたいと言ってくれた方、すみません!!
でも、本当にありがとうございました!!とてもうれしかったです。
これからもこの小説はどんどん続いていきますので、
できたらこれからもよろしくお願いします。

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感想も下さると嬉しいな〜なんて・・・
7月23日 風雅 漣