人は後の事が起こってから悔いるもんだ
殴り倒された男とそれを踏みつける女。
『俺は真選組一番隊副隊長、だコノヤロー!!』
紛れもなくその姿はで。
もう今更にしか見えないわけで・・・。
よく考えてみたら、
全てがに似すぎてた。
俺、バカか・・・?
ずっと会いてぇと思ってた奴がそこにいた。
第八訓 人は後の事が起こってから悔いるもんだ
『ハァッ・・・ハァッ・・・・・・っつ〜・・・』
怒鳴るような声を出し、少々ふらつきながらも仁王立ちする俺。
だが、精神が不安定な分、立っている事も長くは続かない。
今にもぶっ倒れそうだ。
そして体中に感じる痛みに顔を歪ませる。
特に利き腕が痛かった。
今、痣は沢山あるだろう。
体中が真っ青になってるだろう。
でも、一番ズキズキと痛むのは、斬られた右腕。
疲れきった上に痛む腕には、刀を握る力は無い。
「はっ・・・1人ぶっ倒したって、まだ俺たちが残ってるぜ?真選組の子犬ちゃんよぉ」
嘲笑う男は俺を見下ろす。
見下ろされた俺は、荒い呼吸で肩を上下させて痛みに耐える。
久しぶりの切り傷は結構キツいぜ・・・。
『へっへへ・・・いやいや、まだやれるって・・・』
「無理すんなって、へとへとだろ」
一歩一歩、ゆっくり近づいてくる男二人。
少しは俺が危険だと思っているみたいだな。
「痛くしてほしくないなら大人しく捕まっとけ」
刀を顔の前まで持ち上げ、綺麗に施された模様を舌で舐めあげる。
そして俺をなめた目で見つめた。
「さ、とりあえず動けねぇように気絶させとくか」
男は、俺がスキだらけだからか、刀を高く高く上げる。
そして
男の刀は風を斬って一気に振り落とされた。
も、ダメだ・・・。
「伏せろっ!!」
声が聞こえたと同時に、頭を押さえつけられてふらつく。
――カキンッ――
頭に響く、聞きなれた音。
土を踏む音と、苦痛の声をあげる男。
驚いて顔を上げれば・・・
「酷ぇ面してんなぁ・・・・・・お嬢さん」
俺の目の前で二人の男に刀を向ける男がいた。
『そ、総悟っ・・・・・・』
敵の男を見てみれば、手首を負傷したらしく、押さえた場所から血が滴っている。
「てめぇ・・・・・・真選組のっ・・・」
負傷した男を庇うように、もう一人の男が前に出た。
だが総悟は気に留めない。
沖「急にいなくなってどこほっつき歩いてんのかと思いきや・・・」
男が動いた。
小さく振りかざされた刀。
だが総悟は表情一つ変えず、軽くそれを払うと敵の首下に刀を向けた。
スゲェ・・・前よりもコイツ・・・強くなってらぁ・・・。
沖「こんな場所でチャンバラたぁ、元気なこって」
敵に背を向け、こちらを向く総悟。
その表情は柔らかで、不安定な俺を優しく宥めている様だった。
"安心しな。俺に任せろ。"
まるでそう言ってる様に。
『・・・・・・・・・ふっ・・・』
力を込めて痛みを我慢していた俺は、
総悟に一瞬笑いかけた後
意識を手放した。
沖「よくもまぁ・・・可愛い部下をこんなにも痛めつけてくれて・・・」
一歩一歩、間を詰める。
敵は一歩一歩、後退る。
「お、俺らじゃねぇよ・・・」
冷や汗が男の頬を伝った。
沖「言い訳は・・・・・・
死んでから地獄で言いなァ」
瞳孔が開いた沖田の口角が上がり、
にやりと笑った。
俺は何も知らない。
総悟がどんな表情をしていたかなんて・・・
俺は何も知らない。
総悟がどんな風に戦ったかなんて・・・
俺は何も知らない。
総悟がどんな気持ちだったのかなんて・・・。
***
『アレ・・・』
目覚めた時、すぐ目に入ったのは
起き上がった時、すぐ傍にいたのは
さっきまで優しい顔をしていた、今は険しい顔した総悟だった。
『え、ちょ・・・何?』
沖「てめぇ・・・俺に言わなきゃならない事があんじゃねぇのか?」
俺を見下ろす鋭い目。
だけど、先ほどの男らとは違った目だった。
『まさか襲う気じゃっ』
沖「ぶっ殺されてぇか?」
きゃあ、と久しぶりにやる乙女のポーズをすれば
どこから出したのか、バズーカが俺の顔に向けられた。
『貞操は護ってください!!!』
沖「死にてぇんだな?」
『いえすみません』
息をする間もなく謝る俺。
・・・・・・今真剣に危険を感じました。
沖「だーかーら・・・
お前今スッゲェ大事な事隠してるだろィ」
ずいっと顔を近づけられて、内心ビクッとする俺。
『ああっ・・・』
沖「言う気になったか・・・?」
顔が少し離れ、ほっとする俺。
そして体に感じる違和感を、今伝える。
『はい、あの・・・お恥ずかしい話なんですが・・・・・・』
俺の口調に首を傾げる総悟。
多分、俺に言ってもらいたい事とは違うって思ったんだな。
だが、そんなの関係ない。
俺は今凄い必死に我慢している。
俺、本当我慢強いと思うよ?
そう思うでしょ?
ねえ、そう思うでしょ!?
『今すんげぇトイレに行きたいんですよ!!トイレどこですかっ!!!』
沖「テメェやっぱりいっぺん死んどけ」
笑ってない!!笑ってないよ総悟くんっ!!!
口角は上がってんのに!
目が鬼みたいだよ!
怖いっ!!怖いぃぃいいい!!!
『や、やだなぁ・・・それ前にも言いましたよ〜
一回死んだら終わりだって、前ん時言いました!』
沖「・・・・・・てめぇ・・・」
いきなり無言になる総悟・・・
え・・・俺何か言った?
ま、いいや。
取り合えず俺は
トイレに行きたい!!
お腹空いた!
体中が痛い!!
このもやもやを消したい〜!!!
沖「・・・ま、いいや。
トイレとかは我慢しろィ。今お前動けねぇだろ」
『ははwバリバリ動けるッスよ!!』
そう言われて体を動かしてみる。
『っ――』
動かない・・・。
激痛が体中を走った。
気絶する前はなんともなかったのに。
斬られた腕だけじゃない。
鋭利な刃物で神経を斬られた様な・・・・・・鋭い痛み。
『な・・・んだ?』
沖「お前の体は戦ってる時からもうボロボロだったんでィ
だけど、戦いに集中してたから痛みが少しだけに感じていた」
俺、確かに痛みよりも戦いに勝つことに執着していた。
生きる事に執着していた。
沖「俺たち真選組によく見られる現象だぜ。
お前、いつから隊士になったんでィ?」
ギクッ、と体が飛び跳ねた。
その反動でまた痛みが走る。
沖「それから、なんか急に口調変わってねーか?」
『ぇえええ!!?そ、そんな事ないですよぉ沖田さん!!』
ヤバイヤバイヤバイっ!!
つい口調が戻ってた!
タメ口使ってた!!
沖「とりあえず、飯とかは持ってきてやるから。トイレも瓶でしろ」
『悪いんですけど、必要なモンついてないんですけど!!』
沖「つけろィ」
『それセクハラァ!!?』
沖「てめーが言うな、テメーが」
今更ながら、俺は体中包帯でグルグルで、布団に入って総悟を見上げていた。
総悟は無言で立ち上がる。
それを目で追った。
『もう、行くんですか』
沖「寂しいのかィ?」
総悟の口角が上がり、にやりと笑った。
『いや、寂しいのは本当ですけど、沖田さんじゃなくてもいいです』
癒し系キャラに傍にいてほしいなぁと呟くと、横からため息が聞こえた。
沖「うざい」
『Sにうざいって言われたくないです』
沖「お前ぇもSだろうが」
『あーいーうー』
沖「死ね」
『お前が死ね』
沖「・・・・・・」
『・・・・・・』
「『・・・ふっ』」
下に俯き加減で微笑む俺たち。
俺たちいつもこんなんばっかだなぁ。
やっぱり、言いたいこと言い合える仲間って良いよなぁ。
沖「それじゃあ、代わりになる奴連れてくらぁ」
歩いて襖の前まで行くと振り返って言った。
沖「後、確かに結構前にそんな事言ってやしたねぃ
」
――スー・・・・トンッ―――
襖が閉まる。
俺は何も言えなかった。
ただただ呆然と、開いたままの口を閉めるのを忘れ
奴がそう言った場所を見つめているだけ。
奴は言った。
、と・・・。
ば・・・れた・・・?
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〜後書き〜
忙しくて早々に書き上げました。
そのせいで、文章もおかしくギャグもないです。
最近ギャグ無くてごめんなさい!!!
もっと時間が欲しいのですが、
部活、学校と忙しい毎日を送っています。
テスト週間にこれを書き上げた俺を叱らないでください(オイ
第九訓も、よろしくお願いします。

良ければポチッポチッと。二回お願いします(*´∇`*)
感想も下さると嬉しいな〜なんて・・・
2008.05.17 風雅 漣