どんな理由であれ嘘と偽りは違う
第七訓 どんな理由であれ嘘と偽りは違う
『はっ・・・はぁっ・・・』
ひたすら走り続けて呼吸が荒くなってきた。
全力疾走なんてずっと続けられるわけない。
先ほども全力疾走して疲れて歩いていたんだ。
疲れが増して本気でヤバくなってきた・・・。
この後戦いになるかもしれないのに
HPが0となっちゃやってけねぇよ。
体力消耗しすぎた・・・。
ちょっと休憩しなきゃ・・・。
足をゆっくりと遅め、小走りにする。
急に止まると逆に体に悪いのでちょっとずつちょっとずつペースを落とす。
それでもやっぱり呼吸はと荒く、心拍数は今にも爆発しそうなくらい速かった。
それにしても・・・。
『・・・品岡建設の社長・・・・・・ねぇ・・・?』
どうやって乗り込もうか?
今更ながら考える。
これはとても大事な事だ。
最初から誘拐と決め付けるのは悪い。
倒れてる犬を拾ってあげて、まず元気を取り戻させてから交番に・・・・・・とかそういう親切な人かも・・・。
いや、理由はどうであれ品岡は悪者には変わりない。
取り合えず、写真を片手に真正面からどうどうと。
『この犬知りませんかー?』
うし、これで行こう。
あ、でもいきなり聞くのもなぁ・・・。
あ、ちょっとだけ説明加えるか。
例えば・・・。
『お宅が拾ってくださったと小耳に挟んだのですがぁ・・・』
とか。うん、そうそう。
で、多分聞かれるのは・・・俺の正体だよな。
「何者だ、お前」
とか言われちゃったりして・・・・・・。
・・・・・・って・・・アレ?
「何者かと聞いているだろ!早く答えろ」
気づけば目の前には数人の男達がそこにいた。
彼らの両手には一刀の刀が握られていて・・・・・・。
『・・・・・・あれ?』
ちょっとだけ声が裏返ってしまった。
俺の想像内の会話が、耳の中に伝わってきて・・・
目の前には想像とは違ってなんか敵意むき出しな男達がずらずらと・・・。
・・・・・・アレ?
「何故その事を知っている?
早く答えねぇとお前の首、マジで飛ぶぜ」
「いや、胴体真っ二つだ」
え〜っと・・・。
もしかして・・・俺想像上のセリフをコイツらに向かって言ってた!?
冷や汗を頬から伝わせながら気づいた俺の今の姿勢。
・・・・・・想像してた様に写真を男達に見せてるよ、俺。
俺のばぁかぁああああ!!!
「何者なんだって聞いてんだろ!早く答えろっ!!」
刀先が首元に触れる。
咄嗟の事で変な声が一瞬出てしまった。
『・・・万事屋でぇーすυ』
両手を挙げて、目を男から逸らしつつ言う。
別に刀を向けられる事に恐怖心を感じていない。
流石に慣れてしまった。
だが、俺今気づいたんですよ・・・。
敵に刀向けられてやっと気づいたんですよ。
俺どうやって乗り込むつもりだったんだろうなぁ・・・。
俺丸腰じゃんかっ!!
やっべぇ!俺何処まで抜けてんのぉぉお!!?
本気でやばいぞ、コレ。
流石にこの人数を素手で倒すの無理だって・・・。
手っ取り早く刀を奪わないといけない。
どうする俺っ!!
ライフカード、続くっ!!
あ、懐かしい・・・。
最近なんか見ないよね、アレ。
・・・・・・・・・。
『って言ってる場合かぁっ!!』
「何がだよっ!?
いきなり何叫んでんだコイツ!?」
一人ノリツッコミに突っ込んでくれてありがとう、おじさん。
『ボク、嬉しいッス!!』
「だから何がだよっ!?」
場の空気に合わないのほほんとした表情で言う俺。
きっとコイツら俺の事空気読めねぇ奴だって思ってるよ。
「お前KYだよな・・・」
ほらっ!!
ほら来たっ!
だから言ったじゃん!だから言ったじゃん!!
『って、俺誰に言ってるの?』
「俺に聞かれても分かるかボケェッ!!」
勢いでツッコミしてきたおじ・・・お兄さん。
でもちょっと危ないんですけど・・・。
今その勢いのまま刀揺れたんですけどっ!
後数mmで首切れてたんスけどっ!
ふぅ・・・。
『でも今時浪士までも女子高生の真似するんですね』
いや〜、意外よ意外、と呟くと先ほどから刀を俺に向けてツッコミしてくれるお兄さんの顔が少し赤まった。
「いや〜べ、別にマネとかじゃないよ?ほら〜、時代はこういう時代でしょ?」
少々どもりながら言ってる時点でアウトだと思う俺。
『そっか、お兄さん今時の流行に興味ある人なんだ!きゃっ、意外〜w』
「言わないでっ!なんか言われたら恥ずかしくなるから言わないで!!」
『え、マジで?』
「何がっ!!?」
あ〜・・・なんかこの話してるのも疲れてきた。
このおじさんつまんない。
だんだん痺れてきた俺の両腕。
徐々に気づかれないようにおろしていく。
そろそろ・・・
・・・暴れちゃいますか。
『おじさん、刀の握り方・・・それあってんの?』
大きな両手で握り締められた、刀の柄を指差しす。
「は?何言って―――・・・」
男が顔を顰めた瞬間。
俺は素早く動いた。
「なっ!?」
俺が動いたのを頭で理解し、
男達は咄嗟に刀を構えなおす。
首元に刀を向けられていたため、俺は膝に反動をつけて斜め下に一歩素早く退いた。
素早く足の反射神経を使って横跳びする。
―バンッ――
刀に触れない様に体勢を動かし、
相手の懐に入る寸前のところで素手で小手打ちをした。
「っ・・・」
手首に感じる痛みに顔を歪ませ、刀が零れる。
落ちてゆく刀を俺の右腕が掴み、握った。
『ははっ・・・一本げ〜っとw』
にかーっと笑ってみせる。
俺に刀を奪われた者以外の刀先は俺に向けられ
俺が握る、奪った刀は目の前の丸腰の男へ。
「クソアマっ・・・テメー真選組かっ!!」
まだ痛みが消えないのか、利き腕を押さえ、俺をにらみつける男。
その問いに、俺は一度鼻で笑ってやった。
『俺は真選組じゃねーよ』
"今はな・・・。"
その言葉をかき消す。
そして、敵を視界の隅に入れつつ、刀の波紋を見つめた。
久しぶりに握った日本刀。
かなり重く感じる。
ブランクが広すぎたな・・・と少し後悔。
「だがお前から・・・・・・臭うぜ奴らと同じ臭いが」
『ぁあ?』
人の壁が割れ、奥からその間を通って男がやって来た。
誰だ、コイツ。
見上げる俺。
ざっと身長180ってとこか。
もともと背は高くない為、
この巨人に勝てるかとても心配になってきた。
まあ、力と身長で勝てないのなら
スピードと技術で勝負するのみっ!!
『においだぁ?んなもん知るかっつーの』
握った腕と、いつでも動ける様に意識してる足に力を入れる。
この人数・・・・・・俺一人で勝てるかな?
少し見渡す。
ああ、やべぇかも。
運が悪い、本当。
「ならお前が真選組じゃないなら何だ?
その動き、その表情、その眼・・・。ただの一般人とか・・・んな事言わねーよな?」
ククッと笑いを堪える男。
しまったな・・・今更自分のした事に後悔。
此処でこいつら始末しねぇと、後先こっちがフリになるかもな。
今まで顔が割れてなかったのに、コイツらを仲間のところに返しちまったら俺は潜入操作できねーし・・・。
目指せ、全員逮捕!
『なんつーか・・・・・・俺は万事屋の人間だと思うんだけど、違うんですか?』
「俺に聞かれてもね」
『あ、そんな静かにツッコミされても・・・。
なんかこう・・・あるじゃないですか。分かるかボケェっ!!とか、俺に聞くな!とか・・・』
「お前には早く消えてもらわねーとな」
『なあ、人の話聞いてる!?』
チッ・・・。
時間稼ぎとかできねぇかな。
まあ、稼いだところで加勢が来るわけじゃねぇけど。
どっちかってぇと、あっちの加勢が来るだけだし。
うし、決めた。
『暴れてやるよ』
―ザッ――
刀を両手で構え、強く歯を噛み締める。
地面を強く蹴り上げ手前の男に襲いかかった。
『おるぁああっどうにでもなれぇぇっっ!!!』
重なる時の鋭い金属音。
耳を劈く音を久しぶりに聞く。
嫌な音ではあるし、心地よいとも思わない。
だけど、今俺は戦ってる。
そんな風に少し嬉しくなった。
俺、変わってやがる。
体はスゲェ必死に暴れてるのに。
今にも斬られそうで、泥だらけにならながら戦ってるってのに。
男を蹴りつけ、反動で地面に背中から転がる。
刀が振り下ろされ、大きな足が顔面に飛んできて・・・咄嗟に転がり立ち上がる。
立ち上がれば休む暇もなく刀を構え、隙を見つければ蹴ったり殴ったり。
俺の刀の使い道は、あくまで刀と対等に戦うため。
俺の戦いは、醜くなりながらも必死に戦う"喧嘩"だ。
肩で息をしながらも、
汗を滴らせながらも
休みたいけど休めないから俺はひたすら暴れる。
少しずつ。
ほんの少しずついなくなる敵の人数。
敵の減るスピードよりも、
俺の体力が減るスピードがかなり大きい。
それでも俺は攻撃を受けてるから余計に俺は体が思い。
『ぐっ・・・』
腹を蹴られ、あまりにもの激痛に顔を歪ませる。
耐えろ、耐えろ、俺っ
何度も蹴られ、殴られ・・・。
俺はへとへとだ。
それでも切り傷がないのは俺の努力の成果。
例え痣が沢山できても、切り傷だけはつけたくない。
仲間に見られた時
痣なら転んだと言えるだろう。
だけど切り傷なんて・・・ごまかしきれない。
『うっ・・・』
ああ・・・
目の前が真っ暗になりそうだ。
だけど俺は、ここでは死んでもしに切れねぇんだよ。
俺は、生きて戦わなきゃならねーんだよっ!!
***
「ふんっ・・・やるなぁ、お前・・・」
虚ろな目が男を見上げる。
やべぇ・・・限界が近づいてきた・・・。
相当体がだるく、刀を持ち上げれねぇ・・・。
『はっ・・・様ァねぇな。今の俺・・・。
折角、後一人ってのに・・・お、れ・・・動け、ねぇや・・・』
俺の口角が上がる。
だが、目は笑っていなかった。
笑う力もねぇってか・・・。
「ふっ・・・死ねよ、早く」
男がにやりと笑った。
へっへへ・・・。
俺、もうだめかもしんねぇ。
ぼやけた目に入る、不気味に光る銀色。
今動かねぇと・・・・・・死んじまうっ
『っ・・・』
重たい体を持ち上げ、転がるようにギリギリのところで避ける。
だが避け切れなかったか、利き腕に感じる鋭い痛み。
『ぐっ・・・』
「へぇ・・・まだそんな気力残ってたの・・・?」
くくっと嘲笑う男。
俺、このまま避けていられるんかな?
心拍数が凄い事になっている。
呼吸も定まっていない。
少し気持ち悪くもなってきていて、本当にしんどかった。
「お前みたいな奴・・・このまま無くすのも惜しいな・・・」
『・・・はっ・・・はぁ?』
よく分からない、言っている事。
こいつは何がしたい?
こいつは俺をどうしたい?
早く、俺は休みたい。
「ふっ・・・お前、人質くらいにはなんだろ・・・」
左手で血が滴る腕を押さえる俺に背を向ける男。
なに、考えてんだこいつ・・・。
「じゃ、俺は帰るか・・・・・・おい、また後でな」
そのまま歩き始めた男。
わ、ワケ分かんねぇ・・・。
敵に背を向ける?
俺を倒さねぇ?
また後で?
隙、ありありじゃねぇか・・・。
だけど今の俺は動けなかった。
もう、追いかけて刀を振り回す事なんてできなかった。
***
『ハァっ・・・ハァっ・・・』
肩で息をする。
今の戦いでかなり疲れた。
もう、歩けねぇ・・・。
今すぐにでも、ぶっ倒れそうだ・・・。
くっ・・・苦し・・・。
がくんっと膝を折ると、地面につける。
どっと疲れが押し寄せ、当分動けそうもない・・・。
カランッという音と共に、俺は刀を投げ出した。
その時だ。
俺は今自分がした行動を悔いた。
―ザッ――
足音が3つ程俺を囲む。
同時に自由が利かなくなる俺の両腕。
しまった・・・。
そう思った時には既に遅くて・・・。
何度そういう経験をした事か・・・。
『くそっ・・・離せっ!離せっ!!』
また後でってこういう事だったのかよ・・・。
残った仲間に俺を捕獲させる気だったのかよ・・・。
残った渾身の力を振り絞って暴れる。
抵抗を試みるが、意味が無さそうだ。
ヤバイ、どうすればっ・・・。
頭ん中ぐちゃぐちゃになって焦る俺。
今の俺には、コイツらの力を振りほどく力はっ・・・。
必死に助けを求める。
頭に浮かんだシルエット。
総悟っ!!
***
「あ〜・・・マジ面倒くせぇ・・・」
大体なんで俺がを探さなきゃなんねーんでィ・・・。
近藤さんも人使いが荒い。
が朝いなくなって、俺に探しに行けだ?
どうせどっかそこら辺で油売ってんだろィ。
アイツにそっくりだし・・・
ならどうするか考えたら・・・・・・。
万事屋の旦那に会いに行くかどこかで暴れてるか・・・。
・・・・・・。
ならありえねーか・・・。
沖「ハァ・・・何処から探せって言うんでィ・・・」
ふと、視線を下から上に、そして右にずらす。
特に意味もなく、路地裏付近を見つめてみた。
ただ、もしかしたら攘夷浪士がうろついていて暇つぶしになるかも・・・
そんな風にも思っただけで・・・。
沖「・・・・・・」
目が自然と真剣になる。
そして、気持ちを仕事モードに切り替えた。
嫌がる誰か・・・背格好からして、多分女だな・・・。
他には男3人。
女を無理矢理どこかに連れて行こうとしてやがらぁ。
ちょっくら暇つぶしに運動でも・・・。
昼間なクセして薄暗い路地裏を見つめる。
ゴミが少し散らばっているのが分かる。
少し先まで目を凝らして見てみると、いた、あいつらだな。
刀を手に、その時を待つ。
だが、手に入れた力が、一瞬緩んでしまった。
沖「あいつっ・・・」
!?
なんでアイツがっ・・・。
何で捕まってんだよ!
何でここにいんだよ!
チッ・・・。
小さな音で、舌打ちをする。
いきなり飛び込んでいくのは無防備すぎる。
何よりも、丸腰のが危ねぇ・・・。
仕方ねぇ・・・もうちっと様子を窺うか。
『離せっつってんだろーがよ!!』
目を凝らし、隙を探る。
女一人庇って戦うのは面倒臭ぇ。
だから、一番楽できる瞬間を狙うしかねーな。
『んっ・・・』
暴れるはクロロフォルムを嗅がされている。
やべぇ・・・。
が連れてかれちまったらもっと面倒な事になる。
意識なくなる前になんとかしねーとっ・・・。
『何すんだよっ』
は男の鳩尾に肘鉄をし、
顔面にパンチを食い込ませ、
右頬に回し蹴りを食らわしていた。
男から漏れるうめき声。
口角辺りから血が流れ出た。
へ〜・・・意外とやるじゃねぇかィ。
こんなんだったら何も考えずに突っ込んで行っても良さそうだな・・・。
だがそのとき、の体が揺れた。
クロロフォルムが効いてきたのか!?
倒れこむ姿を見つめてにやりと笑う男達。
「真選組の人質を取った。撤収するぞ」
・・・真選組っ!?
チッ・・・。
が俺たちと会ってる事知ってたから狙ったのか。
俺たちに手出しできねぇように、を・・・。
男は漣を抱きかかえて進もうとしている。
沖「っ・・・」
今しかないと思った。
男の一人はを抱えているから戦えねぇだろうな。
人質にされる・・・だろうが。
俺はザッと地面を蹴って素早く路地裏へ飛び込む。
そして、一瞬で刀に触れ、柄を握った。
だが、俺の手は再び止まる。
『誰が人質だ・・・』
捉えられた女が口を開いた。
―バキッ――
一瞬でだらりと下げられていた腕が男に向かって伸び、その男は殴り倒される。
起き上がったはぶっ倒した男を踏みつけ、風に髪を揺らしながら言った。
『俺は真選組一番隊副隊長、だコノヤロー!!』
―ドクンッ――
沖田の中で、何かが揺れ動いた。
たった一瞬の揺れが、沖田を惑わせる。
困惑と、焦燥が一気に押し寄せた。
・・・?
NEXT
〜後書き〜
最初に言っておきます。
ギャグの無い話ですみません。
散々待たせた結果、ギャグ無しシリアスでもない意味不明なぐだぐだ文章。
もう何も言えないです、本当すみませんでした。
まだ高校生活が慣れてなくてなかなか書けません。
更新は今以上に遅れるかもしれません。
それでもこれからも頑張るので
よろしければこれからも優しい目で見てやってください。
第八訓も、よろしくお願いします。

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感想も下さると嬉しいな〜なんて・・・
2008.04.27 風雅 漣