警察が犯罪者になったら一番怖い
一日で一番暑いであろうこの時間
俺達がいるのは真夏の海を眺められる旅館。
だけど海を楽しむどころか、
俺達は苦しめられていた。
第十二訓 警察が犯罪者になったら一番怖い
『何で俺がこんなとこまで来て看病しなきゃならんのですか』
そう。ついさっきこのバカ、沖田総悟が俺を巻込んでぶっ倒れ
土方さんに助けてもらい旅館に運んだのだ。
俺はどうせ楽しめないんだから海に来たってつまらない。
意味のない旅行に連れてかれ、
バカの看病をさせられるとは‥‥
俺ってホントツイてない‥‥。
土「仕方ねぇだろ。俺らしかいねぇんだ」
『ホントまさか‥‥』
部屋に敷き詰められる様に敷かれた布団。
そこに並べられた男共を眺め、大きなため息をつく。
土「まさか全滅とは‥‥」
旅行に戻った俺と土方さんは目に入った光景に驚いた。
俺ら2人を除いた隊士全員が、熱中症で寝込んでいたのだ。
―ドタタタタッ‥‥―
廊下を走る足音に耳がピクリと反応する。
『げυうっざいのがきた』
「ッ!!大丈夫かぁぁあああっっ!!!」
―ガバッ‥‥――
急に兄貴が現われ、俺はあっという間に自由を奪われた。
ミシミシと悲鳴を上げる俺の体。
『い‥‥いだっ‥‥じぬぅっ‥‥どっか折れるっ!!何かが出っ‥‥』
ホントに何かが出た。
口から白い靄-もや-が浮き上り、天に上っていく‥‥
兄「うざいとは何だ。俺は自慢の兄ちゃんだぞ」
土「お前の妹、それどころじゃねぇぞ」
土方がに言った時には既に遅し。
の顔を覗き込んでみると、白目を向いて口から泡を噴き出していた。
兄「っっ!!」
やっと楽になる体だが、当の本人の意識は空気に溶け込み放浪中。
暫く帰ってきそうもない。
兄「どうして!!誰がこんな真似を‥‥」
『「お前だよっ!!」』
『んがっ‥‥』
兄「ぐっ‥‥」
の腕の中から飛び起きたの頭は
覗き込んでいた兄の頭に激突した。
『てめぇいつか絶対ぇぶっ殺すから‥‥』
そう言い、意識が既に朦朧としている兄の顔面に拳を食い込ませた。
兄「っ‥‥何も頭突きの後に殴んなくて‥‥も‥‥」
これでまた一つ布団が減った‥‥。
『っ‥‥
どうやら俺の残りのヒットポイントも限界の様だ‥‥
くっ‥‥
トシよ‥‥後は、頼んだ‥‥ぞ‥‥』
土「なにがだァア!!」
『ピヨピヨピヨ‥‥
暫くお待ちください‥‥』
数分後――‥‥
土「意味分かんねぇんだよ!勝手に話切り換えんなこの異星人が」
『ひでぇー!!そこまで言わなくてもいいじゃないすか!!異星人だなんて‥‥おれは火星人がいいです!!』
土「変わんねぇじゃねぇか!!」
『ああ、疲れた‥‥そう思う土方であった』
土「ホントだよ!てかもう帰れッ!!」
***
土「てかお前、復活早ぇな」
『いざと言う時の為に変わり身の術をかけといたんです』
フッ、と親指を立てる。
土「俺もう突っ込まねぇから」
『酷いよ土方さんっ。放置プレイなんてあんまりだ!!』
土「ほ、放置プレイって‥‥プレイとか言うな気持ち悪い」
『土方さんにとって俺はもうどうでもいい存在なんですね!?俺は捨てられたんだ‥‥うわーんっっ』
土「うわ、止めろ。変な誤解が‥‥」
『酷い土方さん‥‥俺達の間に誤解なんてないっ!!
2人で過ごしたあの夜は紛れもない現実です!!』
土「だから止めろっつってんだろがぁッッ!!」
兄「、いつの間に土方と関係を持って‥‥兄ちゃんが大人の階段を上ってくれて嬉しいぞ!」
『黙れシスコン』
土「態度全然違ぇぇえ!!?」
兄「シスコンで何が悪い、可愛い妹よ」
土「こっちはこっちで開き直ってるってか、冷たさに慣れてるし!!」
『早くくたばれクソ兄貴』
だいたい兄貴はなんだか変わった気がする。
現代にいた時はまだもうちょっと‥‥ほんのちょっとマシだった気がする。
あ。ちなみに2人で過ごした夜ってのはあれね。
浪士の張り込みだから。
『気にしないで』
兄「え。それもしかしてツンデレ!?ついに目覚めたか我が妹よッ!!」
なんだよ。
何でこんな時だけ心の中の声口から出てねーんだよ
『ふざけんなよ。腐れビバロン』
土「ビバロンってなんだよ!?」
さあ?俺も知らない。
つーかもういいや。取り敢えず話を戻そう。
コイツらの看病が先決だろ、うん。不服だがな。
『でも何で俺達だけ元気なんだろな』
下に寝転ぶ隊士達を見下ろし考える。
まあ、あまり日光にも当たってないし
適度な水分補給もしてたっちゃしてたが‥‥
いくらなんでも倒れすぎたろ。
いくら小せtu‥ってしくった違った。
いくらなんでもでき過ぎ‥‥
いや、できてもいないけど。
うーん‥‥
―ヒヤッ‥――
額のタオルを再び冷やして乗せ替える。
自分も体調良好と言うわけでもないので
手から伝わる冷気が気持ち良かった。
いっその事俺も倒れた方が楽だったかもな。
一応俺‥‥病人‥‥υ
沖「分かったぜィだからでさァ」
『バカだって風邪引くんだよ、迷信だよそれ』
沖「今自分でバカと認めてる事に気付け、バカ」
『おおお俺はバカじゃないっ!!絶対っ!!
って‥‥え?』
目をパチクリさせる自分。
土方さんも兄ちゃんもそれは同じだった。
口がぽかんと空いたまま
目の前に平気な顔して座っている沖田総悟を呆然と見つめていた。
『ぇぇえええッ!!?そそそそごぉぉおッ!!?』
驚き過ぎてちゃんと言えてない‥‥。
驚きつつも、
コイツは非常識でまるで宇宙人みたいな奴。
だからこれくらい考えてみたら普通だよな
とコンマ1秒の短い間に思い直す。
土「ってめッ!?ぶっ倒れてたんじゃねーのかよ」
兄「あっははー。流石沖田だなぁ」
『ホントホント。総悟だって言うと全部辻褄合っちゃう気がするよねぇー』
土「冷静過ぎるわお前ら!!」
つーかお前の最初の慌てっぷりはどこに行ったんだよ。
それがいつも以上にツッコミの多い土方が最期に行ったセリフだった‥‥。
土「勝手に殺すなっ!!」
***
『いやーでも驚きだよな。何でそんな意識しっかりしてんの?』
沖「あんたらがうるせーから嫌でも目が覚めらぁ」
と、いつの間にやら完全復活を遂げた沖田総悟が告げた。
兄「つっても他の奴等はまだ夢の世界だぞ」
『つか放置はまずいんじゃねぇの?ほら、水分補給‥‥』
意識のない者にどうやって水分を補給してやんのかは知らないけど
水あげにゃならんだろ。
沖「へー。もちゃんと人間らしいとこあんじゃねーかィ」
『なめんなよ。俺は天使の様な看護婦さんになれるぜ』
そう言い、倒れる男の胸倉を掴み、
無理矢理開口させてホースを突っ込んだ。
『おーらおらおら。たんと飲めぇー』
土「何処が天使だぁッ!!」
今日はとことんツッコミに回る土方であった。
ホースから勢いよく放出される水が口から溢れて体を濡らしていく。
兄「もう止めてあげて!!なんか可哀相!!
呻き声が聞こえる!!心の叫びが聞こえる気がするっ!!」
『え、何?何か言った?』
兄「都合のいい耳持ってんな!?」
土「はぁ‥‥Sって移るもんなのか‥‥?
は最近だいぶマシになったと思ってたんだがな‥‥」
蛇口を閉めながら
毎度毎度、恒例行事のため息をついた。
そんな土方を見て、
俺のSは生まれつきっすから★
と最高の笑顔をプレゼントしたがいた。
『あ、なんかこの濡れ具合えろい。れーちゃんにやろうかな』
土「止めてやれ・・・υ」
***
『つーか展開遅くない??』
濡れた隊士の衣類を替えて、一休みした時は呟いた。
いい加減早く進もうよ。
つか俺いつまで看病してんの!?
管理人は俺に何させたいの?
ずっと看病させていたいの?
てか俺病人だよ!?
俺が看病される側じゃないの!?
『俺に何を求めてんのっ!?』
兄「そりゃオメー決まってんだろ」
ふと口から出た言葉だったが、
そのわりにしっかりと‥‥いやしっかりし過ぎな大きな声には答えた。
『てめーに聞いてねーよ、クソが』
兄「‥‥だんだん酷くなってるね、ちゃん」
目に涙がうっすらと浮かんでいた様に見えたの気のせいだ、きっと。
沖「でもの言う通り、やる事は1つだと思うぜィ」
『え、何。マジであんの?』
沖「そらおめー何だかんだ言ってはヒロインだろィ」
『‥‥‥‥‥ああっ、そうか!』
コイツ忘れてるよ‥‥と思う一同だったが、
よくよく考えてみるとにはヒロイン要素のカケラもなかった。
沖「ヒロインが海に来てやる事と言ったらコレだろ。なぁ」
兄「ああ、そうとも総悟」
『‥‥?』
未だよく分かっていないにトドメの一言が食らわされる。
沖「海と言ったら水着だろぉバカモン!!」
『‥‥‥はぁ?』
水着‥‥?
俺が?
水着‥‥?
俺が?
水着‥‥?
俺が?
みずg「しつけぇっ!!」
―バシンッ―‥
まったく‥良い音が鳴り響いたものだ。
先程まで沖田の下にあった枕で殴られたの額は真っ赤であった。
『水着ってまさか‥‥ビキニ‥‥じゃないよな?』
沖「何言ってんでィ、ビキニに決まってまさぁ」
兄「うんうんって‥ちっがーーっう!!
は健全な乙女でいて欲しいの!そこはスクール水着でしょ総悟くんっ!!」
ふざけんな‥‥。
なんの話をしてんだコイツらは‥‥
頭おかしいんじゃねぇの?
どうしたらそこに行き着くんだよ。
俺の水着姿なんて見たい物好きいないだろうがよ。
つか見れねーよ、文章じゃ。
つか土方さん何処行ったよ!?
いつの間にか姿見えねーよ。
この小説、ツッコミ以外は存在感ねーよ土方さんっっ
ってしまったぁぁっ!!
混乱のあまりまたNGワード出しちゃったよ。
何やってんだよ、俺。
落ち着けよ、自分。
すー‥はー‥‥
すー‥はー‥‥
『落ち着きました隊長』
土「全然落ち着いてねーよ!!何処見てんだアホ!」
『あ、お帰り土方さん』
土「あ、ただいま。じゃねぇよっ!!」
いやだって‥‥
もう俺自分でもどうしたらいいのか分かんなくなっちゃったんだもん。
その時、俺は隙だらけだった。
迂闊だった‥‥
沖「隙有りっ!!」
『んなっ!?』
いきなり背後を取られ、身動きが取れなくなる。
もともと怪我で体が思う様に動かないため、抵抗という抵抗もできなかった。
兄「え。すき焼?」
沖「『お前は黙ってろクズ』」
アホな兄貴は置いといて、この状況からなんとか脱せねば‥‥。
沖「ほら。大人しくこの水着に着替えやがれ」
総悟の手にはいかにも現代の高校生が着る様な水着が。
む、無理だ。
こんな覆う範囲が小せぇもの、着れるわけがないっっ
『何ちゃっかり用意してんだ変態』
沖「いやぁ、にも女って奴を分からせてやろうと思ってねィ。・・・実は‥‥」
むくり‥‥
『はぁ!?』
一斉に起き上がった隊士達が俺を見る。
何?何だよこれ‥‥。
沖「全員が共犯で、これも全て作戦のうちってわけでさぁね」
ニッコリと笑うみんなの顔が悪魔に見えた。
怖ぇ‥‥
ものっそい怖ぇ‥‥
『まさか土方さんも‥‥?』
土「いや、俺は止めたんだが‥‥」
目を合わせようとしない土方さん。
マジでみんなが共犯者っ!?
『まさかれーちゃんまでっ!?』
榛「すみません副隊長‥‥でも‥‥」
『でもなんだよ』
榛「ひいっ!?」
総悟に押さえ付けられたままだったが
の睨んだ目付きは相当のものだった。
沖「は男っぽすぎんでさァ
たまにはも女らしくした方がいい」
『別に俺は女らしくしたいなんて‥‥』
兄「それは過去の境遇がお前をそんな風にしたんだろ」
『まぁ‥‥普通の人生なら普通に女やってたろうけど‥‥それとこれとじゃ話は別‥‥』
沖「いやいや。が自分から女になる事はないって思ってたからこういう作戦になったんだぜィ」
兄「こういう風に、俺達が無理矢理強いる事できっかけができるだろ」
なんか、、尤もな話みたいに言ってるけど
ぜんっぜん理解しがたいんだけど、それ。
そんなのなぁ・・・
だからと言って‥‥
だからと言って‥‥
水着はねーだろうがよっっ
『俺は絶対ぇ着ねぇ』
沖「お前が着なきゃ俺たちが着せるだけでィ」
『それ犯罪だろ。いいのか警察が』
兄「いやぁ、俺ら警察らしくねーから」
『開き直るなクソ兄貴っ』
沖「ほら黙って着な」
無理矢理、着ていたシャツを脱がそうとする総悟。
これは本気でやばい。
水着を着るのも嫌だが、
何よりこんな大勢の男の前で素っ裸になるなど言語道断。
『ままま待て総悟!!いいの!?
もし倒れて入院してもお見舞い行ってあげないよ!?それでもいいの!?』
土「どんな抵抗だよ」
沖「別に構わなねぇでさァ」
『総悟の糞ったらぁぁッ!!』
沖「ふーん、そんな口聞いていいんだ?」
その後無言で俺を見つめた総悟。
無言のまま、総悟の手は止まらなかった。
どんどんシャツが上がっていく。
『ごめんね総悟くんっ!だから許して!その手を離して!!』
沖「嫌でィ」
『何でだよ。何で俺がこんなん着なきゃ‥‥』
沖「気分。」
『やっぱお前いっぺん死んどくべきだわ。おじいちゃんに挨拶しに行くべきだわ』
沖「残念。俺のじいちゃんとっくに成仏してるわ」
『じゃあ今すぐ追いかけろコルァ!!』
ふざけんなよ。
こんなのマジで犯罪じゃねーかよ。
大勢の大人の男が・・・十代の娘を無理やり脱がそうだなんて・・・
普通に考えてこれは明らかに犯罪だ。
『もしマジで脱がしたら・・・』
沖「何でぃ?」
脱がせまいと抵抗を続ける俺と
脱がせようと俺の抵抗を撥ね退け力を入れる総悟。
周りをふと見てみると
一人もこっちを見てる者はいなく、みなが視線をずらしている。
微妙に自分らがどういう事してんのか分かってんのな。
これなら、まだ策はある。
『おい、後でとっつぁんに訴えてやるかんな』
沖「んなのぜんぜん怖くねーでさァ・・・なあ、みんな?」
総悟がみんなに問う。
振り向いてみると、いっせいに頭を下げて逃走した。
「すみませんでしたぁぁっっ!!!」
沖「・・・お前ら弱すぎでィ・・・・・・」
消え去った男共の残像を見ながら・・・
いや、見えないけど。
とにかく総悟は呟いた。
『おら、離せよ総悟。
お前も脱がしたら流石に捕まんじゃねぇの?』
沖「チッ。」
総悟の力が緩み、やっと俺の体は開放された。
若干腕が赤くなってないか、これ。
後ろから拘束され、捕まれていた腕を見ると少し手跡が残っていた。
総悟、こんなしょーもない事に力入れすぎ・・・いろんな意味で。
総悟の水着作戦A・・・失敗。
だが、総悟はまだ諦めていなかった。
沖「次は絶対ぇ着せてみせらァ」
総悟の水着作戦B・・・次回決行。
NEXT
〜後書き〜
お久しぶりですみなさん!!
約2ヶ月かけてやっと書き上げましたよ笑
しかも半分以上・・・いや、4分の3は今日書きました←
ギャグっていうか、ツッコミ満載の作品になりましたが
面白くなってたらいいなぁ・・・・・・いや、なってないか。
相変わらずぐだぐだな作品でしたが、読んでくださってありがとうございました。
またもやリクエストは次回に引き伸ばしです。
あ、でも前回でまだ先だって言ってあるので大丈夫かな・・・?
作中に出てきた、【ビバロン】は
本気で知らないので真面目に調べない様にしてください笑
では、第十三訓もよろしくお願いします。

良ければポチッポチッと。二回お願いします(*´∇`*)
感想下さると嬉しいな〜なんて・・・思っちゃったりしてます。
2009.10.04 風雅 漣